海洋学部海洋生物学科4年次生の石川仁瓶さんがこのほど、沖ノ鳥島近海で採集された標本をもとに、ダイニチホシエソ属魚類の稀種「Eustomias gibbsi」に対して標準和名「カンムリホシエソ」を提唱しました。
本種は北東太平洋を除く太平洋に広く出現し、昼間は水深680~800 mの深海域、夜間は50~200 mの表層域に生息しています。日本の排他的経済水域内にあたる沖ノ鳥島近海からも過去に生息が報告されていましたが、この記録は長らく見落とされており、本種に対して標準和名は提唱されていませんでした。石川さんは、本学科の中山直英助教の研究室で深海魚の研究・調査に取り組んでおり、2019年に本種を発見。ダイニチホシエソ属の仲間は下顎腹面に発達したヒゲをもち、その先端には「末端球状体」と呼ばれる発光器があります。本種の末端球状体は基部が黒く覆われており、この状態が「冠」を被っているように見えることからこの標準和名を提唱しました。研究成果をまとめた論文は2月7日に、日本魚類学会の学術誌『魚類学雑誌』オンライン版に掲載されました。