新種の深海魚「ツゴモリハリバンクサウオOsteodiscus abyssicola」を発見しました

海洋研究所の村﨑謙太助教が、深海魚の一種であるクサウオ科の新種を発見し、学名を「Osteodiscus abyssicola」、標準和名を「ツゴモリハリバンクサウオ」と命名。この研究の成果をまとめた論文が、9月6日に動物分類学の国際学術誌『ZOOTAXA』5032巻1号に掲載されました。

村﨑助教は、国立科学博物館に所蔵されているクサウオ科魚類の標本を調査中に、1992年に千島海溝の南端付近で採集されたハリバンクサウオ属の1標本を発見。骨格や内臓の形態から、これまでに知られている同属の3種とは異なることを明らかにしました。属名の「ハリバンクサウオ」は、村﨑助教が「Osteodiscus(オステオディスカス)」の種を日本から初めて発見した際に新和名として命名したもの。このグループが持つ、平らで半透明な腹吸盤が「玻璃盤(=ガラスの平皿)」を連想させることに因んでいます。また、今回発見した新種の種小名「abyssicola(アビシコラ)」は、ラテン語で「深淵の住人」を意味しており、本種がこれまで知られていた他種よりも深い水深(約4,700m)から採集されたことに因んでいます。このことから、新和名には暗い深淵の世界を連想させる「晦(ツゴモリ)」という言葉を選びました。

村﨑助教は、「海洋研究所は集中して研究に取り組める環境であり、深海魚の新種だけでも今回で6種を発見したことになります。今後も研究のフィールドを拡大しつつ、形態学や分子遺伝学などの方法を駆使して、魚類の多様性を解明していきたい」と話しています。

『ZOOTAXA 5032 (1)』
https://www.mapress.com/zt/article/view/zootaxa.5032.1.8