医学部看護学科の庄村教授が進行肝がん患者のQOLに関する研究で日本私立看護系大学協会「看護学研究奨励賞」を受賞しました

医学部看護学科の庄村雅子教授がこのほど、一般社団法人日本私立看護系大学協会2025年度「看護学研究奨励賞」を受賞しました。この賞は、看護学分野で優れた研究成果を上げた研究者に贈られるもので、2024年10月に医学雑誌『Cancers』に掲載された論文「Impact of Atezolizumab + Bevacizumab Therapy on Health-Related Quality of Life in Patients with Advanced Hepatocellular Carcinoma(進行肝細胞がん患者におけるアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法による健康関連QOLへの影響)」が高く評価されました。

この研究は、2020年に承認された進行肝細胞がんの治療であるアテゾリズマブとベバシズマブの併用療法が、患者の生活の質(QOL)に与える影響を明らかにしたものです。庄村教授らは、同年から23年にかけて医学部付属病院でこの治療を受けた58人を対象に、治療効果や副作用、QOLの変化を定期的に評価。その結果、治療の初期に体力や認知機能が良好で血清アルブミン(タンパク質の一種)量が保たれている患者は治療を長期に継続でき、予後も良好であることが分かりました。

庄村教授は、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)大学院博士課程在籍時から約20年にわたり、本学医学部医学科内科学系消化器内科学領域の加川建弘主任教授(医学部付属病院肝疾患医療センター長)らと協働し、がんの治療を受ける患者のQOLに関する研究を継続してきました。「“生活者としての患者さん“という視点を大切に、コツコツと積み重ねた結果を評価していただき、大変うれしく思います。研究に協力してくださった患者さんや多くの先生方に深く感謝します」と受賞のよろこびを話します。

また庄村教授は、今年度から大学院医学研究科に新設された「ナーシング・ヘルスイノベーション研究センター」のセンター長も務めています。本センターでは、医療実践の効果や安全性の科学的な検証、AIやデジタルヘルス技術の活用といった、多職種による共同研究を推進しています。「医療現場は日々進化しています。看護分野においても新しい技術を積極的に取り入れ、医療の質向上や効率化に貢献したい。今後もがんの患者さんのQOLに関する研究を続けるとともに若手研究者の育成にも力を注ぎ、医療に資する新たな知見を創出していきます」と抱負を語っています。