第22回21世紀保健指導者養成コースを実施しました

2月19日から3月16日まで、伊勢原キャンパスとJICA横浜国際センター(神奈川県横浜市)を拠点に、第22回21世紀保健指導者養成コース(2017年度グローバル保健医療政策担当者の政策立案能力強化)を実施しました。本コースは、医学部が世界保健機構(WHO)と連携協力し、WHO加盟国における保健医療の中核を担うスタッフの育成を目指して1996年に開講。2001年以降はJICA(独立行政法人国際協力機構)の支援を受けて実施し、16年度からは、グローバル社会の安定と発展を目指して調査・研究を行っている本学平和戦略国際研究所が主体となって運営しています。今年度は、中国、バヌアツ、ジョージア、エジプト、リベリアなど12カ国から、保健医療を担当している政府高官ら12名が参加しました。

期間中は、保健制度や医療財政、人口遷移下の社会保障制度、感染症対策、環境保健など多岐にわたる分野の専門家を厚生労働省やWHO、タイ公衆衛生省など内外から招き、講義やワークショップを行いました。本学医学部の宮地勇人教授は付属病院の検査部門を案内し、検査部門の病院における位置づけについて講演。健康科学部の宮永耕准教授は、日本における介護保険導入の経緯について解説しました。また、医学部の渡辺良久非常勤准教授が講師を務め、自国の50年後の理想的な保健医療制度を想定し、その実現に向けた政策立案を行うビジョニングセッションを実施。さらに、研修旅行では広島市の原爆ドームや平和記念資料館、赤十字原爆病院、WHO神戸センターを訪問しました。

最終日には、研修員が成果や感想を発表する評価会を実施。その後、本学とJICAの関係者が出席し、閉講式を行いました。はじめに、研修員全員が討議してまとめた「持続可能な社会保障制度の重要性」を訴える宣言文を読み上げ、一人ひとりが署名。続いて、本コースを企画運営した医学部の木ノ上高章准教授が登壇し、2002年度に本コースに参加したパプアニューギニアの保健省次官・パスコ・カセ氏から届いた研修員への祝福と激励のメッセージを紹介しながら、「研修の成果と仲間同士のネットワークを生かし、母国での保健医療制度の充実・発展に貢献してください」とエールを送り、各研修員に修了証を手渡しました。最後に、ガーナ保健省のゲベ・ニクデモス・カフィ氏が研修員を代表し、謝辞を述べました。終了後のパーティーは、本コースアドバイザーの坪元医学部委嘱教授の乾杯の発声で始まり、1カ月にわたる研修を振り返りながら和やかに歓談しました。

なお、本コースには、医学部の1年次生4名が個別体験学習として講義やディスカッションに参加。石川詠美子さんは、「さまざまな発展途上国の状況を知ることができ、視野が広がりました。今後は海外で働くことを視野に入れ、世界各国の保健医療制度などに関心を持ち続けたい」と抱負を話していました。また、中島拓也さんは、「個人的に研修員数名を案内して浅草やスカイツリー、秋葉原などを巡ったほか、ほぼ毎日異なる国の方と食事をしてさまざまな分野について意見を交わし、医学生として大いに刺激を受けました。後輩にもぜひ経験してもらいたいので、この実習を継続してほしい」と話していました。

木ノ上准教授は、「本コースも22回目となり、53カ国から計250名が参加しました。本学と研修員派遣国だけでなく研修員同士が縦横につながることが、今後の各国の保健医療制度の充実・発展に寄与すると期待しています。学生にとっても、アジアやアフリカの保健医療の実情などについて学ぶ貴重な機会になりました。学園の創立者・松前重義博士は人財育成の重要性を強く訴えました。その志を受け継ぎ、この事業を本学の教育研究資産として、また、国際貢献活動一つとして発展させていければうれしい」と語っています。

保健指導者研修1_1100.jpg

保健指導者研修2_525.jpg

保健指導者研修3_525.jpg

保健指導者研修4_525.jpg

保健指導者研修5_525.jpg

保健指導者研修6_525.jpg