理学部の関根教授と医学部の浅井教授が「第2回皮膚ガスセミナー ~研究開発の最前線~」で講演しました

理学部化学科の関根嘉香教授と医学部医学科の浅井さとみ教授が10月4日に、東京都・日本橋ライフサイエンスビルディングで開催された「第2回皮膚ガスセミナー ~研究開発の最前線~」で講演しました。「皮膚ガス」とはヒトの皮膚から放散される微量な生体ガスです。同セミナーは関根教授が代表を務める「皮膚ガス研究会」が主催し、最前線で研究を続ける企業関係者らが互いの成果を共有してさらなる創発につなげることが目的で、昨年11月の第1回に続いて実施されました。

当日は、約100名が聴講。関根教授は、喫煙者の皮膚ガス解析や、睡眠の質が悪いと疲労臭のアンモニアやニンニク臭と同じ成分であるジアリルジスルフィドが増加することなど、研究の成果を紹介。近年の分析技術の進歩によって、皮膚ガスの種類や放散量はヒトの身体的・生理的な状態や疾病の有無、生活環境や生活行為に関連することがわかってきたこと、皮膚ガスは体表面から連続的かつ自律的に取得できる生体信号として、多様な分野の産業利用に関する検討が進んでいるといった最新の動向を説明し、「皮膚ガスがもたらす情報は“体と心のメッセージ”として活用されるなど有用性が期待されます」と話しました。

続いて登壇した浅井教授は、アンモニア放散量を定量できるパッシブ・フラックス・サンプラーと携帯用の小型心電計を用いて、皮膚から放散されるアンモニアと自律神経反応の関係を明らかにすることを目指して実施した試験の解析結果などを紹介。「皮膚アンモニアは自律神経反応を反映する指標として有用であり、メンタルストレスの管理に応用できる可能性が示唆されました」と話しました。

その後は企業や自治体の研究者がそれぞれの成果を発表し、活発な質疑や議論が展開されました。

当日のセミナー内容は下記の通りです。

基調講演「皮膚ガスが拓く未来:研究から創造へ」
 理学部化学科 関根嘉香教授

「ヒト皮膚から放散するアンモニアと自律神経反応の関係」
 医学部医学科基盤診療学系臨床検査学 浅井さとみ教授

「リストバンド型アンモニアパッシブインジケータ CID-3Fの紹介と測定事例」
 株式会社ガステック技術部 中川脩氏

「皮膚ガスを活用した蓄積ストレス検知技術の社会実装に向けた取り組み」
 株式会社アイシン先進開発部 山口秀明氏

「睡眠の質がヒト皮膚ガス組成に及ぼす影響」
 株式会社コーセー研究所スキンケア製品研究室 興野朝未氏

「皮膚ガスを指標とした『みどり』のストレス軽減効果」
 川崎市環境総合研究所都市環境研究担当 鶴見賢治氏

「皮膚ガス研究会について」
 総合科学技術研究所 尾内敏彦教授

展示:株式会社アイシン、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社、AIREX株式会社、朝倉書店