医学部付属病院の洋上救急活動に対し日本水難救済会から名誉総裁表彰が贈られました

医学部付属病院にこのほど、公益社団法人日本水難救済会から「令和7年度名誉総裁表彰」が贈られました。長年にわたる洋上救急事業への協力に対するもので、6月12日に東京都千代田区の海運クラブで表彰式が開かれ、同会名誉総裁の高円宮妃久子さまから渡辺雅彦病院長と中村晃司事務部長に表彰状と名誉総裁章盾が授与されました。式典には中野洋昌国土交通大臣、瀬口良夫海上保安庁長官らも来賓として列席し、祝辞を述べました。

洋上救急は、日本水難救済会の事業として1985年に開始された世界で唯一の制度です。日本の周辺海域にある船舶上で緊急の医療措置が必要な傷病者が発生した際に、その国籍を問わず、医師と看護師、救急救命士が海上保安庁の巡視船や自衛隊の航空機などに同乗して現場に急行し、処置をしながら陸上の病院まで搬送します。本病院は洋上救急協力医療機関として、これまで108回にわたり高度救命救急センターの医師、看護師を派遣してきました。今回の表彰はその功労に対して贈られたものです。

本センターの守田誠司所長(医学部医学科教授)と尾見秀子看護師長は、「これまでの積み重ねを評価していただき、大変光栄に思います」と話します。尾見師長は、「スタッフは皆、傷病者を助けたいという強い使命感を持っています。108回の出動は、本病院が信頼されている証だと受け止めています。その期待に応えられるよう引き続き努力します」とコメント。守田所長は、「洋上救急では、傷病者の状態を随時、正確に共有するのが難しく、持参できる医療機器や治療する場所、時間などさまざまな制限があります。その中でも、現場や傷病者の状況に応じて効率よく適切な救急処置ができるよう、多様な傷病を想定してシミュレーションするとともに海上保安庁の職員らとの訓練に取り組むなど、いつでも出動できる体制を整えています。四方を海に囲まれた日本では洋上救急は不可欠であり、本病院ではこれまですべての要請に応じてきました。今後も関係機関と連携協力し、“海の救急医療”に貢献していきたい」と話しています。