医学部付属八王子病院の中川副院長が日本水難救済会から表彰されました

医学部付属八王子病院の中川儀英副院長(救急センター長、医学部医学科総合診療学系救命救急医学領域教授)がこのほど、公益社団法人日本水難救済会から洋上救急における事業功労者として表彰されました。7月10日に東京都千代田区の海運クラブで開かれた「第40回中央洋上救急支援協議会通常総会」に併せて表彰式が行われ、同会の相原力会長から中川副院長に感謝状が贈呈されました。

日本水難救済会の事業として1985年に始まった洋上救急は、日本の周辺海域にある船舶上で緊急の医療措置が必要な傷病者が発生した際に医師と看護師、救急救命士が海上保安庁の巡視船や自衛隊の航空機などに同乗して現場に急行し、処置をしながら陸上の病院まで搬送する世界で唯一の制度です。中川副院長は2004年に、海運や水産、医療機関の関係者らで構成される日本水難救済会中央洋上救急支援協議会の医療幹事に就任。以後20年にわたり洋上救急事業の円滑な運営に協力してきました。今回の表彰はその功労に対して贈られたものです。

中川副院長は1987年3月に本学医学部を卒業後、90年から伊勢原キャンパスの医学部付属病院救命救急科に所属し、診療科長や高度救命救急センター所長などを歴任。洋上救急への協力をはじめ、近隣消防署との連携強化や神奈川県ドクターヘリの導入・運用にも尽力してきました。今年4月からは八王子病院の副院長、救急センター長として、地域と連携した救急医療体制の充実や救命救急専門医の育成に取り組んでいます。

中川副院長は、「洋上救急で出会った患者さん一人ひとりが、今も脳裏にうかびます。特に印象深いのは、93年に初めて出動したマリアナ諸島近海での活動です。漁船の機関室の爆発で発生したアンモニアガスにより、乗組員2名が眼球と呼吸器に重度の化学熱傷を負っている危険な状態で付属病院に搬送しました。容態が安定し、呼吸を確保するために気管に挿入していた管を抜いた際、患者さんがせき込みながら私に握手を求め、かすれた声でお礼を言ってくれたときのことは忘れられません。命を救う一助になれるといううれしさはもちろん、海上保安庁や海上自衛隊、医療者らの連携による“組織を超えたチーム医療”の素晴らしさに心を動かされたことも、中央洋上救急支援協議会の活動に協力したいと考えた理由です。医療幹事としての取り組みを評価していただき感謝します。今後も洋上救急のさらなる充実発展を目指して努力したい」と話しています。