平塚市立みずほ小学校で9月9日に行われた「東海大学地域スポーツクラブ」の地域開放事業で、水泳部の茨隆太郎選手(大学院体育学研究科2年次生)がデフスポーツ(ろう者のスポーツ)について講演しました。
「東海大学地域スポーツクラブ」は、大学・地域・学生が三位一体となり、スポーツを通じたコミュニケーション機会の増加と健康水準の向上により、地域活性化を促すことを目的に2012年から活動しています。今年はみずほ小学校を会場に、毎月2回、平塚市職員と体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科の学生が中心となって実施しています。特にパラスポーツ(障がい者がプレーするスポーツ)の選手を招いて講演会を開いており、今回は7月に開催されたデフリンピック夏季競技大会(※ろう者のための国際総合スポーツ競技大会)に出場し、男子200m個人メドレーなど6種目でメダルを獲得した茨選手が登壇しました。
集まった約20名の参加者を前に、茨選手は自身の経歴や聴覚障害者の聴力にレベルがあることなどを手話で解説し、スタッフが通訳。隣に座った人と言葉を使わずに「行ってみたい国」や「好きな食べ物」を伝えるゲームも行いました。茨選手は、「耳が聞こえる人でも、海外に行けば身振り手振りでコミュニケーションを取ろうとしますよね。私たち聴覚障害者は、視線や口の動きなどさまざまな方法で相手の言っていることを読み取ろうとします。言葉がなくても、”相手に伝えたい”という思いがあれば伝わることもあります」と話しました。また、「今日はデフリンピックのことについて皆さんに知ってもらいたい」と話し、自身が出場した試合の映像を流しながら、大会概要や通常の競技大会との違いについて説明。最後は7月のトルコ・サムスン大会で獲得したメダルを参加者に手渡し、大会の周知につなげました。
講演会後は、ろう者の聴力を体験できるヘッドホンを参加者が装着しながら卓球をして、周りの音が聞こえない状態で行うスポーツの難しさをそれぞれ体感したり、茨選手も一緒に卓球やバドミントンをしたりと、デフスポーツを通して交流を深めました。当日の運営に携わった本学科の橘尚志さん(3年次生)は、「東海大にはほかにも障害を持ちながらさまざまな競技で活躍している選手が多くいるので、こうした活動が競技の普及につながるといいなと思います」と話しました。