オンライン講演会「女性会計士の働き方と女性活用」を開催しました

 

政治経済学部では1月13日に、オンライン講演会「女性会計士の働き方と女性活用-監査法人・女性会計士活躍促進協議会での取り組みを踏まえて」を開催しました。講演会は、日本公認会計士協会常務理事・前女性会計士活躍推進協議会議長として業界を牽引してきた林敬子氏が講師を務めました。林氏は、20年近くBig4と呼ばれる大手監査法人でパートナーとして活躍してきた経験を踏まえ、女性会計士の働き方に関する課題や展望について講演しました。WEBビデオ会議システム「Zoom」を使った講演には、本学部の学生を中心に、企業への就職を希望する他学部学生や教職員など約90名が参加しました。

林氏は、まず内閣府男女共同参画局によるデータに基づき、日本における女性活躍の現状を解説しました。具体的には、「日本の女性就業者の増加数は、2016年時点からの10年間で約150万人であったが、2012年以降の7年間で約330万人へ急増しています」と説明した上で、一方、「女性の管理職や役員も増加傾向にありますが、女性役員の割合は先進国の中でも最も低い水準と言わざるを得ません」と指摘しました。その中で公認会計士業界では、公認会計士試験合格者に占める女性の割合が2000年代以降2割前後にとどまっていることを示しました。その理由として、「ロールモデルの不足、キャリアの多様性の認識不足、会計士は激務であり育児との両立が困難という誤ったイメージ」を挙げました。そして、これらが、2016年の女性会計士活躍推進協議会の設置へつながる契機になるとともに、これらを踏まえ女性会計士活躍促進協議会では、女性会計士が長期にわたって業務を継続することを支援する取り組み、若年層女性が会計士を目指すための取り組み等を行なってきたと解説しました。

次に林氏は、デロイトトーマツグループのD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進の責任者であった経験を踏まえて、「人材の多様性を推進するとともに、あらゆる価値観を受け入れ、一人ひとりが活躍する生き生きとした組織にしていく」というD&Iの意義を解説しました。具体的な取り組みの例として、女性リーダーの育成やLGBT及び障害者支援等を推進してきた経験を紹介しました。続いて、女性会計士のキャリアと働き方の展望を語った上で、参加者へのエールとして、「アンコンシャスバイアス(無意識でのものの見方やとらえ方の歪みや偏り)を意識しよう。女性に向けては自信を持ってチャレンジしてほしい。男女を問わず自分自身の価値を磨き続けよう」という3つのアドバイスを語り、「”会計士は女性に限らず、キャリアと働き方の多様性が魅力である”」とまとめました。

参加した学生は、「女性会計士に限らず会計士には様々な働き方があり、監査法人は、働き方やダイバーシティ&インクルージョンについて積極的に取り組んでいることを知ることができて勉強になりました」と話していました。最後に学生から寄せられた多くの質問に丁寧に答えて頂きました。