大学院理学研究科の岡田さんが「第39回プラズマ・核融合学会」で若手学会発表賞を受賞しました

大学院理学研究科物理学専攻修士1年次生の岡田尚徳さん(指導教員=理学部物理学科・利根川昭教授)が、11月22日から25日まで富山国際会議場で開かれた「第39回プラズマ・核融合学会」で若手学会発表賞を受賞しました。同賞は正会員部門と学生会員部門に分かれており、4つのトピックスごとに受賞者が選出されます。今回は学生会員203件の発表の中から、9件が選ばれました。

岡田さんは22日に、「直線型ダイバータ模擬装置TPDsheet-Uを用いたICR加熱での非接触プラズマ特性」をテーマに研究成果を発表しました。将来のエネルギー問題を解決する策として注目を集める核融合発電の実現には約1億度の高密度プラズマを1秒以上閉じ込める必要があり、この核融合時に発生する不純物を排気する装置「ダイバータ」が備えつけられています。しかし、ダイバータは炉心から排出されるプラズマにより熱負荷に曝されてしまう問題を抱えています。この問題を解決するため、ダイバータにガスを流入させプラズマの再結合過程を促進させることで非接触プラズマを生成し、炉心から排出されたプラズマを冷却させ熱負荷を低減させる方法が提案されています。そこで岡田さんらは、利根川研究室のプラズマ生成装置「TPDsheet-U」を用いて、イオンサイクロトロン共鳴現象でイオンを加熱する「ICR加熱法」で、非接触プラズマ形成への影響を研究。発生磁場中で非接触プラズマを形成するには高い電子密度が必要であるとともに、イオン温度の増加が非接触プラズマ形成を抑制していることを初めて明らかにしました。

学部生時代から利根川教授の研究室に所属し、本研究に取り組んできた岡田さんは、「利根川先生や研究室のメンバーからアドバイスを受けながら取り組んできた研究の成果を評価していただいて、とてもうれしく思います。今後も、ICR加熱法を含む核融合発電の実現につながる研究を続けていきます」と意欲を見せていました。

関連リンク
第39回プラズマ・核融合学会年会
若手学会発表賞(プラズマ・核融合学会Webサイト)
プラズマ・核融合学会