観光学科の田中伸彦教授が責任編集を務めた書籍『森林環境2018』が発行されました

観光学部観光学科の田中伸彦教授と、朝日新聞編集委員である伊藤智章氏が責任編集を務めた『森林環境2018-農山村のお金の巡りを良くする』(発行=公益財団法人森林文化協会)が3月15日に発行されました。本書籍は、みどりや環境に携わる研究者やジャーナリストで組織されている森林環境研究会が、1年間実施した調査や研究、取材の成果をまとめる年報として毎年発行されているものです。今年度は、「農山村のお金の巡りを良くする」をテーマに掲げ、13本の特集論文を掲載するとともに、6本のトレンド・レビュー、みどりのデータ・テーブルから構成されています。

今回の特集では、単に“農山村で稼ぐ”という話にとどまらず、稼いだお金が実際に農山村の中で有効なキャッシュフローとなっているのか、そしていかに地元住民を潤しているのか、という点まで広げた知見が語られています。田中教授は、執筆を担当した序章で、「国の経済循環は、人の血液の流れと似ています。人は心臓から大量の血液を体の隅々に送りだし、指先の毛細血管まで絶えず血液が循環しているからこそ健康が保たれます。これを国のお金の循環に当てはめると、心臓にあたる首都圏だけではなく、毛細血管にあたる農山村にも途切れなくお金が巡り続けることが、日本経済の健康に欠かせないことが分かります。近年よく行われているような、都市部の業者が企画したパックツアーなどで農山村に観光客を誘致しても、地域にお金が落とされるのは手数料などを引かれた後の宿泊費やお土産代程度に限られます。旅行者が支払うお金の多くは観光地がある地元に環流しないのです。今後は、地方が主導権を握って、地域の中でお金を生み出し、循環させていく仕組みをつくれる人材がますます必要になります」と提言。また、「本誌では、旅行産業だけで地域づくりを考えるのではなく、未利用広葉樹を用いた新しいビジネスモデルや、地域通貨の試み、里山の再生事業など、地域全体の産業を巻き込んだ地域振興の課題と解決施策について、幅広い分野の専門家から論考をいただいています。また、発行元の森林文化協会の試みとして、本書を冊子体として販売する一方で、執筆者それぞれの論文はホームページ(下記URL)からダウンロードすることができます。地方創生や自然環境を学んでいる学生、観光を活用した地域づくりに興味のある方は、是非下記ダウンロードページを活用してお読みください」と語っています。

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