所長挨拶

【写真】東海大学総合医学研究所 所長 井ノ上 逸朗

東海大学総合医学研究所 所長 瀧澤俊也(神経内科 教授)

総合医学研究所の理念は、東海大学医科学先端研究の中核拠点となるべく、ゲノム・再生医療・創薬・健康医学におけるトランスレーショナルリサーチを推進し、社会に貢献する事です。その為、優秀な若手研究者の育成や医科学分野に関連した東海大学他学部との連携も具体的に進め、東海大学医科学研究の更なる活性化を図る事を運営目的としています。

実際に総合医学研究所では、希少難治性疾患から生活習慣病などありふれた疾患までを対象とした基礎医学の成果を診療の現場に生かす臨床研究の実現を目指しています。特に、「ゲノム・再生医療・創薬・老化健康」を研究所の中核研究テーマとし、疾患遺伝子同定、機能解析、ネットワーク解析、老化の分子機構の解明に基づき、再生医療、創薬、予防・健康医学に向けての臨床応用に関する先進的な業績を上げると伴に、病態解析や創薬開発の評価系に繋がる有用な遺伝子改変動物モデルの作成など、国内外からも注目される成果を着実に上げてきました。

2011年度は医学部全体にまたがる唯一の研究機関である総合医学研究所の利点を生かし、匿名化や個人情報管理、試料管理(DNA、血液)を一括化する事で、その管理精度、永続性、安全、機密性を担保したゲノムストレージシステムを構築し、臨床3科(血液腫瘍内科、循環器内科、神経内科)がお互いに再利用出来ることを明示して「医の倫理委員会」の承認を得ました。2012年度はこのシステムを用い、総医研に加わっている臨床3科が中心となって疾患感受性要因の解析を進めて行きます。

総合医学研究所は、ゲノム多様性解析部門、脳・神経疾患部門、再生医学部門、発生工学・疾患モデル動物部門、代謝システム医学部門、ライフケア部門の6部門に、医学部教員より実力と実績のある若手を含めた研究者14名の所員を配置し、若手発掘や更なる組織活性化を図っています。これらの方針の基、各分野の目標は次のとおりです。

1)ゲノム研究は医学、生命科学研究の基礎となります。特に疾患遺伝子同定は病気の原因そのものの解明に繋がるので、外部資金を導入しつつ、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、乾癬、脳動脈瘤、男性不妊症など多岐にわたる疾患についての研究を続行します。更に、上述の「ゲノムストレージシステム」を活用し、疾患感受性要因の解析から病気の原因を探り、新規治療法開発に結びつける研究へと発展させます。特に、PKCεとそのリセプタータンパク間の相互作用やHLA Class I/ Class II分子を中心とした分子間相互作用に適用し、これらの相互作用に影響を及ぼす化合物のスクリーニング系を確立します。

2)再生医療は、本研究所における重要な重点領域の一つであります。東海大学医学部においては創立当時より造血幹細胞移植に多数の治療実績を有してきた経緯があります。今年度は、コアプロジェクトとして、血液腫瘍内科では抗癌剤薬物耐性などの臨床応用を見据えたトランスレーショナルリサーチを展開し、着実に治療実績を積み重ねて行きます。神経内科では、国内4大学との共同で顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を急性期脳梗塞患者に投与するランダム化第II相医師主導臨床研究を開始し、症例登録を積み重ねてゆく予定です。また、総医研内の基礎・臨床部門の共同研究では、メタボリック症候群患者での血液中血管内皮前駆細胞(EPC)の細胞動態を解析し、脳梗塞発症の予知的診断法を開発します。

3)創薬研究の基本は「有用な新規化合物の取得」であります。自らが見出した遺伝子・蛋白から予測される「治療コンセプト」を単に提唱するだけではなく、それを検討するためのツール(新規化合物など)を自ら取得し、更にこれらを用いて動物モデルで自らのコンセプトを検証する事を重要な課題と認識しています。実際これまでの研究により、幾つかの有用な新規化合物が確実に取得され、国内外からも注目される成果を着実に上げています。東海大学でのHLA分野での実績を生かしたHLA分子への創薬デザインを現在具体化しつつあります。

4)老化健康に関しては、これまではモデル生物を用いた解析が中心であったが、高齢者の健康をキーワードに研究を推進しています。健康科学においてはゲノムサイエンスの進展を享受しつつ、総務省や経済産業省が主導するプロジェクトとして、地域住民の協力を得つつ、研究をさらに推進します。

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