国際宇宙ガンマ線天文台の建設プロジェクトで大学院生が活躍しています

大学院理学研究科物理学専攻博士課程1年次生の辻本晋平さんと修士課程2年次生の友野弥生さん、梅津陽平さんらが、東大西洋のカナリア諸島に宇宙ガンマ線天文台(CTA)を建設する国際プロジェクトに参加しています。このプロジェクトは、現在設置されているガンマ線望遠鏡の10倍の感度と優れた分析能を持つ観測装置を使って、ブラックホール周辺のさまざまな物理現象の観測や暗黒物質の検出に挑むもので、世界28カ国1200名以上の研究者が参画。日本からは本学のほか、東京大学、京都大学、山形大学、茨城大学、埼玉大学、甲南大学など、29機関の研究者と学生が参加しています。

このカメラでは約1800本の光電子増倍管を用いて焦点面カメラを設置することになっており、その性能をそろえることが極めて重要になっています。辻本さんはその性能を測る検出器の開発を担当。物理学科の櫛田淳子准教授の指導を受けて昨年夏から研究を始め、ウィンドウズやリナックスといった特定のOSに縛られずに使うことができ、カメラにかけるフィルターを自動で動かし光量を変える装置を開発しました。また友野さんは、光電子増倍管にかける電圧を調整する回路の設計と製造を担当。他大学の学生とも協力しながら約1800個の部品を完成させました。

辻本さんは、「開発にあたっては研究室の先輩が残してくれた研究ノートを参考にしつつ、東京大学宇宙線研究所の先生のアドバイスも受けながら開発に取り組みました。それまではNASAの観測データを解析する研究をしてきたため、全く専門外のことに不安もありましたが、未経験の分野にぜひ挑戦しようと思い参加しました。2020年の完成時には私自身は卒業していますが、この天文台の観測データを使って後輩たちが新しいことを発見してくれると期待しています」と話しています。また友野さんは「他大学の学生と情報交換をしながら作業を進める中で、それまで知らなかったことを学べるなど今後の研究に生かせる情報を多く得ることができました。現在はこの天文台で観測する天体の候補を探すプロジェクトに参加しているので、より観測に適した天体を見つけられるようこれからも頑張っていきたい」と語っています。

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