生物学部生物学科の鈴木大准教授と松井晋准教授、本学の竹中践名誉教授が、3月に公開された環境省「第5次レッドデータブック(鳥類及び爬虫類・両生類)」の一部項目を執筆しました。レッドデータブックは、種の絶滅の危険度を示した「レッドリスト」に掲載される日本の野生動物の生息状況や減少要因などをまとめた資料のことで、自然環境保全施策や環境影響評価、希少種保護政策などに活用されています。これまでは、各分科会に所属する委員が文献などからカテゴリーを判定していましたが、より科学的な研究データに基づいて評価しようと今回から各生物の専門家が協力しました。

鈴木准教授は、同分科会委員でもある竹中名誉教授から依頼を受けて、2006年から研究しているニホンイシガメの項目を竹中名誉教授と共同執筆しました。ニホンイシガメは、本州や四国、九州などの水辺に生息する日本固有種で、竹中名誉教授が評価を担当した2014年のレッドリスト改訂時には準絶滅危惧に指定されていました。今回は、絶滅危惧種のうち深刻度は最も低いものの危険性が増している「絶滅危惧Ⅱ類」に位置づけられ、2014年改訂時の評価データを引き継ぎながら、鈴木准教授の研究成果などを加えて改訂作業が進められました。外来種との生息地競合や交雑、特定外来生物アライグマによる捕食の影響によって、前回改訂時と比較して個体数が全国的に減少していることをまとめました。
代表著者の鈴木准教授は、「自分の研究対象が希少種になることは研究者としては少し複雑な心境ですが、自分の研究成果が形になることで、より多くの人にニホンイシガメに関心を持ってもらい、保全につながれば」と語っていました。竹中名誉教授は、「東海大学に保全に貢献する専門家がいることをうれしく思います」と話していました。
また、鳥類のレッドデータブックでは、松井准教授が「絶滅危惧ⅠA類」に判定されているウミガラスとウミスズメの項目の執筆に関わっており、これまでの松井准教授の研究成果が引用されています。