生物学科の河合教授が共著者を務めた『北方四島の動物たち 日露隣接地域の生態系とその保全』が発行されました

生物学部生物学科の河合久仁子教授が共著者を務めた書籍『ヤマケイ新書 北方四島の動物たち 日露隣接地域の生態系とその保全』(山と溪谷社刊)が、3月16日に刊行されました。本書は、北方四島やオホーツク海をはじめとする日露隣接地域の生態系保全と持続可能な利用を目的にとした共同研究・交流事業「日露隣接地域生態系保全協力プログラム」の成果をまとめたものです。北方四島に生息する多様な動物や生態系の特徴について、各分野の研究者が執筆しています。

哺乳類、特にコウモリ類を専門とする河合教授は、第3章「陸の中小哺乳類、特にコウモリについて ―地史を反映した日露隣接地域の哺乳類相」を担当しました。2010年から19年にかけて国後島および択捉島において行われた専門家交流で得られた結果を基に、島に生息する哺乳類の種類が、島の面積や氷河期の環境変化および森林の分布を強く受けている可能性があることを解説し、北海道本島や北方四島に生息する哺乳類の分布リストを掲載しています。コウモリにおいては、北海道本島で約20種が確認されている一方で、国後島では11種、択捉島では4種を確認したことや、DNA解析によって本州・北海道本島・国後島に生息するチチブコウモリは大陸に生息する種とは異なることを明らかにし、「チチブコウモリ Barbastella pacifica」と命名したことを紹介。また、国際自然保護組合(IUCN)によるレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に分類されるヨーロッパミンクが、国後島に導入され定着していることが判明したことなども説明しています。

河合教授は、「北方四島は生物の分布を考えるうえで非常に興味深い地域で、飛翔能力を持つコウモリであっても過去の環境変化の影響を強く受けていることが分かりました。本書は、オールカラーで写真も多数掲載しているので、書店などでぜひ手に取っていただき、北方四島の豊かな環境や生物研究の面白さを知っていただければうれしいです」と話しています。