バイオサイエンス学科の永井准教授が非侵襲的AGEs測定装置の開発に協力

2015年10月20日

農学部バイオサイエンス学科の永井竜児准教授がシャープ株式会社と共同で開発してきた非侵襲的AGEs測定装置がこのほど完成。9月1日から4日まで東京大学伊藤国際学術研究センターで開催された第12回国際メイラード反応シンポジウム(12th ISMR)でお披露目されました。また、同シンポジウム内で行われたシャープによるランチョンセミナーに永井准教授が登壇し、世界各国から集った研究者を前に、研究の過程や機能検証の結果などについて報告しました。

AGEsは日常生活で糖分を過剰に摂取することでタンパク質が糖化してできる物質で、糖尿病のほか認知症やがん、高血圧、動脈硬化症にも関与します。今回開発された測定装置では、手の指先の血管に青紫色の光を当てることでAGEsの自家蛍光現象を利用し、血管内のAGEs量を測定。血液検査など皮膚内や体の開口部に器具を挿入せず(非侵襲的)に体内のAGEsの蓄積度を数値化でき、従来の血糖値センサーでは分からなかった血管の老化度を可視化することも可能です。これにより糖尿病合併症などの早期発見につながると期待されています。

永井准教授は約6年前からシャープとの共同研究に着手。同社新規事業推進本部で機器開発を担当し本学大学院生物科学研究科(博士課程)にも在籍する山中幹宏氏とともに、測定の際に血管に当てる波長の選定や動物試験による機能検証などに取り組んできました。「AGEsの測定機器は約10年前にオランダでも開発されていましたが、前腕部で測定するためメラニン色素の影響を受けやすく、アジアに多い黄色人種では正確な値が測れませんでした。さらに測定中の体の動きにも影響を受け、正確な数値が出づらく、日本における利用は一部の研究機関に限られていました。今回の開発にあたっては、日本人に合った蛍光の波長を選定するとともに、測定部位としてメラニン色素の少ない指先に着目。クリップで指先を挟んで固定することで測定時に体が動いてしまう問題にも対応しています」と永井准教授。

測定装置は来年春に一般向けに販売される予定で、永井准教授らは熊本大学医学部附属病院など臨床の現場でデータの蓄積にも取り組んでいます。永井准教授は、「これまでAGEsの分析には質量分析装置など高価な機材が必要でしたが、この装置が普及すれば、医療機関のみならずスポーツセンターや公民館などで手軽に測定が可能となり、糖尿病合併症の早期発見など、生活習慣病の効果的な対策が可能になると考えられます。また、AGEsを抑制する機能性食品やサプリメントの開発にもつながると期待しています」と話しています。

12th ISMRホームページ
http://www.imars.umin.jp/index.html

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