工学部生命化学科の片山准教授が参画するグループがカビ毒「アフラトキシン」の防除にジオクタチンが効果を発揮するメカニズムを解明しました

工学部生命化学科の片山秀和准教授が参画する研究グループが、肝臓がんを引き起こすカビ毒「アフラトキシン」の防除にジオクタチンという物質が効果を発揮するメカニズムを解明。その成果が、9月3日付でアメリカの科学雑誌『Cell Chemical Biology』に掲載されました。

この研究は、帝京大学理工学部の作田庄平教授を中心に、片山准教授のほか、東京大学、山形大学などの7人の研究者が5年ほど前から共同で進めてきたものです。アフラトキシンは熱帯で多く繁殖するカビから発生する強力な発がん性物質で、肝臓がんの3分の1は、この物質が原因で発症しているといわれています。研究グループでは、ミトコンドリアの代謝機能によって、アフラトキシンの生産が制御されることを解明。ジオクタチンがミトコンドリア内にあるClpプロテアーゼというたんぱく質に作用することで、アフラトキシンの生合成が抑制されることを明らかにしました。片山准教授は研究グループ内でジオクタチンの合成を担当。有機合成の技術を使って、ジオクタチンに特定の物質に特異的に吸着する機能を付与した「ジオクタチン固定化ビーズ」を提供しました。

片山准教授は、「多くの人と協力する中で、東海大学の合成技術に新しい可能性が拓けており、今後の発展も楽しみ。アフタトキシンの被害は熱帯地域の農産物で大きな被害が出ていますが、地球温暖化によって将来日本でも被害が出る可能性があると考えています。その被害軽減につながると期待しています」と語っています。片山准教授はこのほかにも、学内外の研究者と連携し、ヒトデや魚のたんぱく質の機能解析やインスリンの合成に関する研究に取り組んでいます。「化学合成の技術は日進月歩で進んでおり、研究の発展に貢献できる独自の合成技術を磨いていきたい」と話しています。