大会に向けてのチームの取り組みや、現地の様子をご紹介します。
2017年10月15日
1週間にわたって開かれた2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジが10月15日に最終日を迎え、表彰式とそれに先立ってアデレード市内を会場に全出場マシンによるパレード走行が行われました。このパレードは、ゴール地点であるヴィクトリア・スクエアから約1km先のヴィクトリア・パークまでの区間で実施されるものです。東海大学ソーラーカーチームは、学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部動力機械工学科3年次生)がステアリングを握りました。午後3時にスタートしたマシンは、警察のパトカーに先導されて走行。大会の順位に沿って、優勝したオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」などに続いて四番手でスタートした喜多さんは、沿道の市民らに手を振りながらゆっくりとマシンを進め、「ギャラリーが多く、大会の注目度の高さを感じました。できれば先頭で走りたかったですね」と語りました。
夕方からアデレードコンベンションセンターで開かれた表彰式では、全参加チームが一堂に会しました。大会主催者のクリス・セルウッド氏らのあいさつに続いて、レースの模様が収められたダイジェスト映像が放映され、その後は技術面で優れたチームや各クラスの上位チームと表彰が続き、本大会のメーンクラスであり東海大チームが出場したチャレンジャークラスの上位3チームにトロフィーが授与されました。各チームの代表者がスピーチする様子を真剣な表情で見守ったチームマネージャーの武藤創さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「自分も大会前から、3位以上に入って舞台に上がるつもりでいただけに残念な気持ちもあります。でも、すでに気持ちは次へと切り替えています。私は2年次生でリーダーとなったので、この先大学に在学している2年間はチームに携われます。この経験を糧にチームに貢献していきたい」と前を向きました。同様にメンバーたちも、「今の気持ちは”次こそは”という一言につきます。表彰式に参加して、優勝したNuonに勝ちたいという気持ちが高まりました」(清水祐輝さん=情報理工学部コンピュータ応用工学科3年次生)、「大会を振り返る映像で、あらためて世界のチームと戦っていたのだと再認識しました。4位という記録は正直、とても悔しいです。次は勝ちたい」(鎌田健聖さん=工学部精密工学科3年次生)とそれぞれに気持ちを新たにしていました。
レースの全日程を終え、学生たちはマシンや機材の輸送担当を除いて帰国の途につきます。福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授))は、「3位と4位では表彰式で壇上に上がれる、上がれない以上の差があります。3位とは10分と紙一重のタイム差でしたが、学生たちもこの結果から何か感じてくれたことと思いますし、私自身も悔しさを感じています。チームとして、次の大会に向けて『今度こそ世界を獲る』という気持ちで臨んでいきますが、メンバーそれぞれも大会の経験をもとに大学を出てもなお世界と戦うという気持ちをもって歩んでほしいと期待しています。あらためて、このような大きな大会に挑める東海大学の環境に感謝しています。今後も挑戦を続けていきます」と語りました。
2017年10月14日
一昨日に2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジのゴールを果たした東海大学ソーラーカーチームは10月14日、ゴール会場のヴィクトリア・スクエアで3000kmあまりを走り切ったマシン「Tokai Challenger」を展示。学生たちが説明係を務めました。
本大会では、途中でのリタイアも含めアデレードへとたどり着いたすべてのチームのマシンがゴール会場に展示されます。会場には地元住民や各チームの関係者、報道関係者らが来場し、Tokai Challengerをはじめ優勝したデルフト工科大学「Nuon Solar Team」のマシン「Nuna9」や2位に入ったアメリカ・ミシガン大学の「Novum」などを熱心に見学する様子が見られました。前日から展示を始めた東海大チームのブースでも学生たちが交代で説明係として待機し、来場者からの「雨が降った場合も走りますか?」「タイヤはソーラーカー専用ですか?」といった質問に一つひとつ丁寧に答えていました。マシンに触れることを禁止するチームもある中、東海大チームは小さな子どもをコックピットに座らせて写真撮影に応じるなどのサービスも行い好評を博していました。他チームのメンバーからの質問に答えていた山崎翔太さん(工学部電気電子工学科2年次生)は、「英語は少ししか話せないので、何度か聞きなおし、優しくゆっくり話してもらえてやっと理解できるなど、自分の語学力のなさを痛感しました。勉強しなおしたいと思います」と苦笑いで話しました。
また、表彰式を翌日に控え、ゴールにも続々と3000kmを旅してきたマシンが到着。東海大チームのメンバーもボードを叩いたり、拍手を送ったりとて会場を盛り上げました。学生たちからは、「他チームのマシンを見ているとデザインや空力性能の工夫などとても参考になります。今後の活動に生かしたい」といった声が聞かれたほか、「チームは違えども、皆ダーウィンからアデレードまで走り切った仲間であり、ゴールした感動は同じです。迎えるのもうれしいですね」とそれぞれに感慨深げな表情を見せていました。
2017年10月13日
前日、2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジでアデレード市内のゴール地点に到達した東海大学ソーラーカーチーム。10月13日はゴール会場で約3000kmを走り切ったマシン「Tokai Challenger」を展示したほか、帰国に向けた荷物整理などの準備に追われました。
レースを終えたチームは、マシンの運搬で活躍する日野自動車提供のトラックをはじめ、マシンとともに走行した司令車や先導車、伴走車、偵察車といったサポートカーをアデレード市内のヴィクトリアパークに停車。学生たちは、衛星通信機、無線機や警光灯などの装備品やステッカーなどを外し、元の状態に戻す作業を進めました。サポートカー整備班長の板山侑豊さん(工学部電気電子工学科3年次生)は、「オーストラリア国内専用のCB無線機は大会当局から借用したものもあるので、漏れがないようしっかり把握し管理する必要があります。間違いなく返却できるよう、丁寧な作業を心がけています」と話すように、一つひとつ丁寧に取り外して整理するなど、黙々と作業に打ち込んでいました。
マシンや物資の一部は、輸送を担当するメンバーの手でメルボルンへと運ばれ、三協が手配する船便に託されます。レース期間中からトラックドライバーのサポートなどを担当し、メルボルンへの輸送にも携わる新井隆史さん(工学部動力機械工学科4年次生)は、「船便に積み込む際に手際よく作業できるよう、ここでの準備も大切です」と話し、トラックに積み込んで運んできた食料品やマシン整備用の器具などの運び出しに汗を流しました。
また、夜には市内のレストランで学校法人東海大学の松前義昭理事長が団長を務める東海大学学園校友会による「校友会視察旅行~ワールド・ソーラー・チャレンジ応援の旅」が慰労会を開催。学生メンバーや木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)、福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)、ドライバーを務めた佐川耕平助教(工学部電気電子工学科)をはじめ、特別アドバイザーも含めたチームメンバー全員が出席しました。松前理事長はあいさつで、自らも過去に東海大学ソーラーカーチームで活動していたころの思い出を披露しながら、「私も3回、ダーウィンからアデレードまで走っていますから、皆さんの大変さを想像しながら応援してきました。レースでは自分たちのベストを出すことが重要ですが、2、3年かけて準備してきたことを1週間で発揮しなくてはなりません。さらにこれまで好成績を残してきたチームの一員としてのプレッシャーもあることと思います。そういった状況の中で皆さんは非常によくやってくれたと思います。2、3年次生は次のレースに向けて、4年次生は就職してから先へと、この経験を生かしていください」と激励しました。
続いて木村総監督があいさつとともに支援企業や多くの応援に対する謝辞を述べた後、梶井龍太郎副学長による乾杯の発声で始まった宴席では、ツアー参加者の間に学生たちが座り、レースの思い出やメンバーたちの日々の活動や学部学科での学び、学生生活についてといった質問が飛び交ったほか、木村総監督がチームメンバーを紹介。参加者と学生が交流を深める様子が見られました。
2017年10月12日
約3000kmの長距離を太陽光のエネルギーだけで走る世界最高峰のソーラーカーレース「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」で、10月8日のレース開幕から5日目の12日午後4時48分(スタート地点のダーウィン時間、現地時間午後5時48分、日本時間午後4時18分)に、東海大学ソーラーカーチームがアデレードのゴール地点に4位で到達しました。
東海大チームは1日目にトップに立ったものの、曇天や悪天候、強い横風など厳しい気象条件もあり2日目以降はオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」、アメリカ・ミシガン大学などに先行を許し、レース後半は4、5番手争いを強いられる展開になりました。12日は、前日にレース終了時間の午後5時を迎えた2415km地点から午前8時5分(5分は前日のオーバータイム分)に再スタートを切ります。学生たちは、「5位の厳しい位置で、レースは残り約600kmと終盤が見えてきましたが、まだまだあきらめていません。最後まで優勝を目指します」と前を向きました。
学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部3年)のドライブで17km先の第8コントロールポイント(CP)のグレンダンボに5番手で到着し、午前8時22分から30分の義務停車に入りました。この時点で、同CPを前日に通過したトップのオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」とは約2時間30分差となりました。ここで4番手を走っていたオランダ「Solar Team Twente」にペナルティーのため30分の停車が課されたため東海大チームが4位に浮上します。引き続き喜多さんがステアリングを握り、3位のベルギー「Punch Powertrain Solar Team」、2位のアメリカ・ミシガン大学を捉えるべく前進を続けました。
晴天に恵まれたこの区間では平均時速も約90km程度で走行。およそ270km先の第9CPポートオーガスタに午後0時17分に到達しました。トップを走るオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」は2時間前にすでに通過しましたが、2位のアメリカ・ミシガン大学とは35分差、3位のベルギー「Punch Powertrain Solar Team」とは6分差と接戦に。ここでドライバーを佐川耕平助教(工学部)に交代し、ゴールのアデレードまで約300kmの道のりをTokai Challengerは表彰台に向けて最後まで粘り強く戦いました。
しかし、最後は前を行くPunch Powertrainに一歩及ばず、4位でレースを終え、前々回大会の準優勝、前回大会の3位に続いて優勝には届きませんでした。それでも、Tokai Challengerは学校法人東海大学の松前義昭理事長が団長を務める東海大学学園校友会による「校友会視察旅行~ワールド・ソーラー・チャレンジ応援の旅」参加者やチャレンジセンターの岡田工センター長(現代教養センター主任教授)ら関係者が出迎える中、オーストラリア大陸の中央部を縦断する3000kmの長大なコースを見事に完走。観衆の大きな拍手に迎えられてゴールしました。その後は大会の長年にわたる伝統にしたがい、メンバーたちが次々とヴィクトリア・スクエア内にある噴水に飛び込んで完走できた喜びを表現。ともにゴールしたNuonやPunch Powertrain、Twenteのメンバーらとユニホームを交換する様子も見られました。
チームマネージャーの武藤創さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「とにかく、ゴールできたことに興奮しています。しかし、この結果には『まだまだよりよいチームを作らなくてはならない』という気持ちです。皆が集まり、活気のあるチームをこれからも仲間たちと一緒につくっていきます」と前を向きました。「3位のPunch Powertrainは追いつける距離にいただけに、率直に悔しい気持ちがあります」と話すのは福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)。「一方で、学生たちはレースを通じてチームワークをはぐくんでくれました。レースは人を強くするものであり、教育の一環としてこの大会に参戦している意義を感じています。参加した学生たちには大学に戻ってからもこの経験を伝え、周囲やプロジェクト活動に刺激を与えてもらいたい」と期待を語りました。
レース運営の指揮をとった木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)は、「今大会はレギュレーションの変更により、本学のようにシリコンを用いた太陽電池を搭載する陣営と、衛星など宇宙空間で使われる多接合化合物太陽電池を使う陣営の2つに分かれました。上位3チームはすべて多接合化合物陣営であり、東海大チームはシリコン系を使った中ではトップの成績を収められたことに意義があったと感じています」と大会の成果を語ります。また、「レース2日目にサスペンションの不具合で右リアサスペンションのアライメントが狂ってしまい、タイヤが偏摩耗した際にエネルギーをロスしてしまいました。こういったトラブルなどからあと一歩、上位に食い込めなかった点が振り返り材料としてあります。今後はレギュレーションのバランスを改善するよう大会に働きかけながら、『世界』に向けて再チャレンジしていきたい」と決意を述べました。
なお、大会公式結果は後日ペナルティーなどによる加算が集計され、正式なタイムや平均速度などが発表されます。
2017年10月11日
レース3日目の10月10日をスタートから1786km地点付近のパーキングエリアで終えた東海大学ソーラーカーチーム。キャンプ地では11日未明に激しい雷雨に見舞われたものの、朝には雨が上がり、薄い雲の下で学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部動力機械工学科3年次生)がステアリングを握って4日目のスタートを切りました。
出発してすぐにノーザンテリトリーから南オーストラリア州の州境をこえると、厚い雲が広がり、バッテリー残量を気にしながらの展開が続きます。4番手からペースを上げてきたベルギー「Punch Powertrain Solar Team」と抜きつ抜かれつのポジション争いを繰り広げました。次々と変化する雲や強まる横風の影響もあり各チームがペースを落とす中、Punch Powertrainの先行を許した東海大チームは5位で第7コントロールポイント(CP)のクッバーピディーに到着。この時点で、2位のアメリカ・ミシガン大学と16分差、3位のオランダ「Solar Team Twente」とは11分差、4位のPunch Powertrainとは8分差となりました。難しいドライビングを終えた喜多さんは、「前回大会でもこの区間を走りましたが、今回の走行は出発から約370kmと長く、雲の変化や他チームとの位置関係もありスロットルワークを司令車の指示に合わせる部分などで難しい場面もありました。ただ、2017年型Tokai Challengerは横風の影響が少なく、ペースを守って走り切ることができたと思います」と語りました。
クッバーピディーでドライバーを特別アドバイザーのシッド・ビッカナーバーさん(NASA)に交代。前を行くトップのオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」、2位のアメリカ・ミシガン大学など4チームを追います。このあたりから太陽光が届き始め、Tokai Challengerは平均時速80km程度で巡航。必死に前を追いましたが、グレンダンボの手前17kmの地点(スタートから2415km地点)でレース終了時間の午後5時を迎え、5番手でこの日のレースを終えました。今回が初の国際大会参加となる石渡智央さん(工学部機械工学科2年次生)は、「海外の強豪チームの車体やCPでの動き方などは、見ているだけでも勉強になる部分がたくさんあります。私たちは準備が足りずCPでバタバタしてしまうこともあり、細かい部分が勝負の結果にも影響すると反省しています。レースはあと1日か2日程度ですが、これまでの経験を糧にしっかりと役割を果たしたい」と前を向きます。ドライバーの喜多さんも「5番手の位置ですが、前のチームも詰まっています。1つでも前の順位を狙い、あわよくば独走状態のNuonも抜きたい」と意欲を見せました。
福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙専攻准教授)は、「レースも残り600km程度と大詰めを迎え、ここからは各チームのバッテリーがどの程度残っているかが勝負になります。我々は比較的残量が多いのではないかと思いますが、翌朝の充電が重要。しっかりと作業していかなくてはなりません。学生たちもこのレース期間を通じて、自らの役割を認識し、チームワークも高まってきました。最後まであきらめることなく、上位を目指します」と明日以降の戦いに向けた抱負を語っています。
2017年10月10日
前日午後4時26分に第4コントロールポイント(CP)のバロウクリークを出発した東海大学ソーラーカーチームは、学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部3年)のドライビングで1250km地点にあるトラックレストエリアに到着。2位でレースを終えました。大会3日目の10月10日は、佐川耕平助教(工学部)がファーストドライバーを務め、午前8時3分(3分は前日のオーバータイム分)にキャンプ地点を出発しました。
レース序盤は薄曇りの中、バッテリー残量を見ながら前方を行くオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」を追走する難しい展開となりました。チームは東海大学情報技術センターと湘南キャンパスから送られてきた気象衛星ひまわりの画像を参考にして、第5CPのアリススプリングスから先のエリアではさらに厚い雲が広がっていると予測。この区間の後半はペースを落として走行し、レースの折り返しとなるアリススプリングスではNuonと約29分遅れでの到着となりました。
アリススプリングスでは、学校法人東海大学の松前義昭理事長を団長とした「東海大学学園校友会視察旅行~ワールド・ソーラー・チャレンジ応援の旅」の参加者がチームを激励。チームは、ここからドライバーを工学部卒業生で特別アドバイザーの菊田剛広さん(日本ケミコン)に交代し再スタートを切りました。曇天の中で巡航速度を下げた東海大チームに対して、約2分後に出発したアメリカ・ミシガン大学とオランダ「Solar Team Twente」が迫り、1570km地点付近で4位まで後退しました。その後、太陽の光が強くなってきたことで速度を時速80km程度まで上げて走行。第6CPのカルゲラには16時15分に到着しました。3位Twenteとは10分差、5位のベルギー「Punch Powertrain Solar Team」が8分差となっています。菊田さんは、「昨晩、機械班のメンバーが夜遅くまでマシンのアライメントなどを調整してくれた結果、さらにドライビングが安定しました。性能は着実に上がっており、今後も期待できると思います」と語ります。
レース終了時間の午後5時までは、NASA研究員で特別アドバイザーのシッド・ビッカナーバーさんがドライブ。スタートから1786km地点付近のパーキングエリアに到着しました。明日も午前8時のレース再開から第7CPのクッバーピディーを目指します。木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)は、「想定していたよりも気象の変化が速く、晴れ間が続いたためライバルチームの先行を許す結果となってしまいました。オーストラリア大陸中央部の気象予測は困難ですが、明日以降も薄曇りが続くのではないかと見ています。今日節約したエネルギーを生かして、前を追っていきます」と決意を語りました。
学生たちは3日続けてのキャンプとなりましたが、協力して準備を進め明日以降の戦いに備えています。ロジスティクスやレース中のマシン前方での偵察などを担当する鎌田健聖さん(工学部精密工学科3年次生)は、「本格的なキャンプは初めての経験ですが、オーストラリアの大自然の中で仲間たちと過ごす、かけがえのない経験ができています。レースは予断を許さない状況ですが、偵察の任務もしっかりこなしライバルチームの状況や天候の様子など伝えることでチームに貢献し、ここからの逆転につなげたい」と話しています。
2017年10月09日
レース初日をスタートのダーウィンから605km地点で終えた東海大学ソーラーカーチームは10月9日、早朝の日の出から充電を行おうとしたものの、原因不明の発電系統のトラブルに見舞われましたが、佐川耕平助教(工学部電気電子工学科)や木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)らの指導で、基板をさしなおすことで対処。無事に発電が始まり、バッテリーに電気を蓄えました。
午前8時1分(1分は前日のオーバータイム分)に第3コントロールポイント(CP)のテナントクリークに向けた再スタートを切りました。レース序盤は、雲一つない晴天に恵まれ佐川助教のドライブで約10分前を走るオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」を追います。長い直線やアップダウンが続くエリアを快走し、午前11時ごろ873km地点で足回りのトラブルで停車していたNuonを抜き、再びトップに立ちました。その後、Nuonに先行を許しましたが、順調な走行を続け約3分半の僅差でテナントクリークに到着。30分の停車の後、ドライバーをNASA研究員で特別アドバイザーのシッド・ビッカナーバーさんに交代しました。
途中、観光地として知られ、大きな奇岩がころがるデビルズマーブルを通過。コース後半に入るにつれて薄い雲が広がり、時折小雨も降るあいにくのコンディションに加え、無線が通じないトラブルも発生します。それでもシッドさんが懸命に走行を続け、トップを走るNuonとの差を2分半に詰めて第4CPのバロウクリークに到着しました。3位のオランダ「Solar Team Twente」とは20分以上の差がついています。その後の午後5時までの走行時間は学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部3年)がドライブ。1250km地点にあるトラックレストエリアまで到着し、先行してキャンプ地を探していたメンバーが確保した場所にTokai Challengerを停止してこの日のレースを終えました。明日はここから第5CPのアリススプリングスを目指します。
木村総監督は、「一日を通じて雲が多く、発電量を確保できない展開が続きました。その一方で、Nuonとは僅差でけん制し合い、さらに後方集団から逃げなくてはならず、エネルギーマネージメントの観点から難しいレースとなっています。ただ、キャンプ地の選定では大会前にメンバーが二手に分かれコースを本番通りと逆のアデレードからダーウィンまで向かいながら調査したことで、充電に適した場所を確保することができました。Nuonは常に3分から5分程度前を走っていますが、チャンスは必ずあります。そういったアドバンテージを生かしてトップを狙います」と語りました。
また、キャンプ地ではメンバーたちが夕日に向けてソーラーパネルの角度を調整しながら懸命に充電作業に当たりました。電気班の清水祐輝さん(情報理工学部コンピュータ応用工学科3年次生)は、「朝のトラブルは自分がかかわる部分でもあり、ヒヤッとしました。バッテリーがレース終了後まで持ってくれるようにしっかりと役割を果たしていきます。トップとは約3分差、トラブルなく走れば追いつけると思います。優勝に向けて頑張ります」と力強く話しました。
2017年10月08日
世界最高峰のソーラーカーレース「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」が10月8日に開幕。3大会ぶりの世界一奪還を目指す東海大学ソーラーカーチームは前日の予選を経て9番手からのスタートも、直後からスタートダッシュを決めて次々とライバルチームをごぼう抜き。初日はダーウィンから605km地点まで到達し、本大会2連覇中のオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」と約20km差の2位につけています。
チームは朝8時の開会セレモニーに合わせて、スタート地点にマシンを搬入。全チームが一堂に会する中、日本が誇る最先端技術が詰まったマシン「Tokai Challenger」は多くのファンの注目を集めました。電気班のメンバーとして準備に当たった阿部涼平さん(工学部精密工学科4年次生)は、「自分たちの組んだバッテリーが3000kmを走り切れるのか……マシンの心臓部であり責任ある仕事ですから、レース本番を前に緊張もあります。ただ、目標は総合優勝。全力で頑張ります」と意気込みを語りました。この日のファーストドライバーは2009年の大会以来、この役目を務めてきた佐川耕平助教(工学部電気電子工学科)。「何度もこのレースには出場してきましたが、今年4月に東海大学の教員になってからは初めての出場となります。学生たちと何カ月もかけて作り上げてきたTokai Challengerの力を世界に見せたい」と決意を語ってスタートを切りました。
交差点や信号の多いダーウィン市内ながら佐川助教の経験が生き、次々と前を行くマシンを捉え、3位までジャンプアップを果たします。その後も順調に走行し、スタートから約180kmの地点でNuon、予選トップのベルギー「Punch Powertrain Solar Team」をかわし、そのままトップで第1コントロールポイント(CP)のキャサリンに入りました。「マシンが安定していたので、スムーズな走行ができた」と佐川助教。ここでドライバーをチームOBで特別アドバイザーの菊田剛広さん(工学部卒・日本ケミコン)にスイッチします。キャサリンから先のエリアでは雲が広がってきたため、ペースをそれまでの時速90kmから80km程度に落としての走行となりましたが、菊田さんの堅実なドライビングでマシンを前へと進めました。
途中、キャサリンから126km程度の地点でペースを上げてきたNuonの先行を許しましたが、2番手のポジションで第2CPのデイリーウオーターズに約4分半差で到着。今大会から変更されたルールに沿って、菊田さんが一人でマシンの充電姿勢を整えました。続いて学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部3年次生)が乗り込んだTokai Challengerは、午後4時47分に再スタート。午後5時のレース終了時間まで13分弱とわずかな時間となりましたが、「少しでもNuonに追いつきたい」と9分先に出発したNuon Solar Teamを懸命に追いかけました。午後5時の終了時間にはダーウィンから605km地点にあるトラックパーキングに到達。Nuonから約20km後方で本日のレースを終えました。喜多さんは、「想定していたより道がきれいで走りやすく感じました。トラブルの有無が勝敗を分けると思いますが、明日以降も運転する機会があればしっかりと役割を果たしていきます」と力強く語りました。
チームは日没まで充電を行うとともに、到着地点でキャンプを張って今後の戦いに備えています。明日は午前8時に出発し、第3CPのテナントクリークを目指します。
2017年10月07日
「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」の開幕を翌日に控えた10月7日、ソーラーカーチームはヒドゥンバレーサーキットで行われた公式予選に臨み、2分19秒4のタイムでチャレンジャークラス24台中9位(総合13位)に入りました。
予選は1周2.87kmのコース1周分のラップタイムを競うもので、レースではタイム順に約1分ごとにスタートを切るため、その後の展開に大きく影響します。「Tokai Challenger」は待機時間の間に順調に整備され、佐川耕平助教(工学部電気電子工学科)がステアリングを握りコースへと進みます。スタート前には前回大会優勝のライバルであるオランダ・デルフト工科大学の「Nuon Solar Team」が1つ前に待機していたこともあり双方のメンバーが応援合戦を繰り広げる一幕も。コースへと出た佐川助教は慎重かつ果敢なドライビングでゴールラインを通過しました。「サーキット向きのマシンではありませんが、しっかりと走れたと思います。真ん中より上の順位に入れれば」と佐川助教。木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)は、「2分20秒くらいで周回してくれればと考えていたので、予想通りの結果となりました。スタート直後のダーウィン市内は2車線の場所が多いので、スタートダッシュを決めて早い段階で上位を狙っていく」と話しました。
なお、予選の周回後には動的車検としてスラローム走行とブレーキングのチェックも実施され、どちらも問題なく通過。これですべての車検項目に合格し、Tokai Challengerにレースを走るためのナンバープレートが発行されました。
また、大会公式写真の撮影を終えた午後には、全参加チームのメンバーが一堂に会する「イベントブリーフィング」がダーウィン・コンベンションセンターで開かれ、東海大チームも出席。本番スタート時における待機位置の説明やレース期間中の安全確保に関する諸注意、チームに帯同するオブザーバーの割り振りなどが行われました。セーフティーオフィサーを務める山崎翔太さん(工学部電気電子工学科2年次生)は、「安全に関する諸注意を受けて気を引き締めています。ここまでいろいろなことがありましたが、スタートを前にして連日の作業や暑さで疲れも出てきています。私は中学高校と陸上部に所属していたのでそのころ培った体力も生かして3000kmを走り切ります」と意気込みを新たにしていました。
レースはいよいよ明日8日の午前8時30分(日本時間午前8時)に号砲が鳴ります。メンバーはガレージに戻ると、ミーティングでレース中の動き方や整備のポイントを確認。それぞれが自らの役割を果たしながら大一番に向けて準備を進めています。福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)は急ピッチで作業する学生たちを見守りつつ、「今大会の参加メンバーは海外で開かれる大会の経験者が少なく、はじめはマシンの整備をはじめ普段の行動でも動きが鈍く感じられることも多くありました。しかし、ダーウィンでの準備や車検、予選を通じてしっかりと動けるように成長してきています。明日からは長丁場となるので、しっかり準備を整えて臨みたい」と話しています。
2017年10月06日
10月6日のソーラーカーチームチームは、早朝7時過ぎにヒドゥンバレーサーキットに入り、テスト走行と動的車検の一部に臨みました。チームがオーストラリア入りして以来、実際の走行は初めてということもあり、メンバーたちは一様に緊張した表情を見せていました。8時のコース入りに合わせてまずプロジェクトアドバイザーであり、長年チームでドライバーを務めてきた佐川耕平助教(工学部電気電子工学科)がステアリングを握り、1度のピットインを挟みながらマシンの挙動などを確認しながら周回を重ねます。
続いて特別アドバイザーでチームOBの菊田剛広さん(日本ケミコン)がドライブ。その後、再び佐川助教のドライビングで動的車検の一項目である「8の字旋回」に臨み合格となりました。その後も特別アドバイザーのシッド・ビッカナーバーさん(NASA)と学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部動力機械工学科2年次生)もテスト走行を行い、マシンへの習熟を深めました。シッドさんは、「Tokai Challengerはユニークなシェイプでコーナリングには注意が必要ですが直線のスピードがあり、ほぼまっすぐの道を走るブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジでは好成績を期待できると感じました。多くのチームは大会のレギュレーションが大きく変更されるとマシンの中身を合わせて変えるものですが、東海大は外見から大きくチェンジしました。これは大きなかけでもありますが、いい方向に出れば勝てるのではないかと思います」と期待を語りました。
午後からはダーウィン郊外に設定された公道テストコースへと向かい、佐川助教、シッドさん、喜多さん、菊田さんの順で走行を繰り返し、より本番に近い環境でマシンから聞こえる異音の有無や車体の挙動をそれぞれの感覚で確認していきました。佐川助教は、「9月初旬に日本で行ったテスト走行と比較してマシンの完成度は上がってきています」と手応えを語りました。
終了後にガレージへと戻ったメンバーたちは、レース本番に向けた準備を進めています。サウジアラビアからの留学生、アルシャイ・カリードさん(大学院工学研究科応用理科学専攻1年次生)とビジル・ハイテムさん(工学部機械工学科4年次生)は、「今年のチームは2年次生と若いリーダーを支えていく雰囲気ができていて先輩後輩の仲もとてもいい」と口をそろえます。「広報班としてチームの様子を動画で撮影し、この場で編集してYouTubeで紹介しています。ぜひ多くの人に見てもらいたい」とアルシャイさん。ビジルさんは、「通訳をはじめ買い出しや料理、サポートカーの運転とさまざまな面でチームを支えたい」と意気込んでいます。
一方で、福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)とチームマネージャーの武藤創さん(工学部動力機械工学科2年次生)、チームリーダー補佐のアショー・アハメドさん(大学院工学研究科電気電子工学専攻1年次生)が、ノーザンテリトリー立法議会で開かれた大会のウェルカムレセプションに出席。ノーザンテリトリーのマイケル・ガンナー首席大臣やジェイ・ウェザリル南オーストラリア州首相らも駆けつける中、同席したアメリカ・ミシガン大学チームの学生らとお互いの健闘を誓いあいました。
2017年10月05日
ソーラーカーチームは10月5日の午前中は、ダーウィンでの拠点としているペンタゴン・フリート・サービス社のガレージで再車検に該当したパーツの整備を進める一方、3日後に迫ってきたレース開幕に向けてサポートカーの整備にも取り組むなどメンバーたちはそれぞれの持ち場で時間を惜しむように作業を続けました。
午後からは車検会場のダーウィン・コンベンションセンターへとマシンを運び込み、バッテリー回路の確認や大会オフィシャルステッカーの貼り付け位置の変更、マシン構造について関する書類の再提出など一つひとつの項目をクリア。残すは大会側から取り付けを義務付けられているGPSの動作確認と最終的なメンバー登録のみとなり、ほぼすべての項目をパスしました。機械班の飯野樹さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「車検の項目によって車検員それぞれの視点があり、厳しくみられていると感じるものも多くありました。一通り通過できましたが、これで終わったわけではなく実際の走行が待っています。無事に走れるよう整備を進めます」と気を引き締めていました。
車検終了後には、予選の行われるヒドゥンバレーサーキットで大会メーンスポンサーのブリヂストンが開いた懇親会に学生たちも参加。世界各国から集った同年代の学生たちと交流しながら英気を養いました。その後はガレージに戻り、さっそくミーティングを実施。レース期間中に向けた準備の確認や、明日に予定しているサーキットでの練習走行の段取り、整備項目などについて確認しました。席上、木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)はメンバーたちに向けて、「車検はほぼ通過したが、他チームと比較してマシンの整備状況や完成度が低く、意識の面でも劣っている。このような状況ではこれから3000kmにも及ぶレースに臨むための準備は十分ではなく優勝はほど遠い」と厳しい表情で語りかけ、「明日の練習走行ではしっかりと走れるよう準備しよう」と学生たちにはっぱをかけました。
チームマネージャーの武藤創さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「すぐに大会は始まりますが、それまでにやるべきことをしっかりと果たし、マシンの性能を伸ばしていくとともに本番での作戦をつめていき、東海大の力を見せたい」と意気込んでいます。
2017年10月04日
10月8日(日)に開幕する「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」に向けて、ソーラーカーチームは4日にレース出場の可否を左右する公式車検に臨みました。この車検は、マシンの安全性や大会規定に合致しているかどうかといった項目がチェックされ、レース出場の最終的な判断が下される重要な過程の一つです。今大会では3日から6日にかけて実施されており、チームは2日目の本日に検査を受けました。
メンバーたちは午前8時の開始に合わせて会場となるダーウィン・コンベンションセンターのホールにマシンを搬入。車体の構造や強度、ウインカーやホーンといった安全設備、バッテリーの回路、大会ステッカーの位置、車体サイズと順番に設けられたブースでチェックを受けていきました。また、ドライバー登録者の体重測定や緊急時の脱出テストなども実施。チームはバッテリーの組み立てに時間を要したため、最初は再検査を指示される項目が多く出てしまいましたが、午後に入り電気班のメンバーが木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)らとともにガレージでの組み立てを終えて駆け付けると、マシンに搭載し電気関係の項目を中心に再び検査に臨みました。
マシンは機構や安全性に関する項目では問題ありませんでしたが、ゼッケンの位置や構造に関する提出書類、バッテリー回路の確認といった項目で再検査となり、翌日も車検に臨むことになりました。福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)は、「我々にも若干の準備不足がありましたが、大会当局もどの項目に対しても厳しくチェックしていた印象を受けました。残った部分もありますが、明日にかけてきっちりと作業を進めていきます」と話します。また、チームリーダー補佐として車検担当者とチームの通訳やマシンの説明役を務めたアショー・アハメドさん(大学院工学研究科電気電子工学専攻1年次生)は、「初めて丸一日車検会場に出ましたが、母国語のアラビア語ではなく英語から日本語に訳すということで、自分の語彙力不足を痛感しました。明日の検査でも質問項目などを想定し、復習したいと思います」と語りました。
一方で、本日の会場には東海大チームをはじめ前回大会を制し2連覇中のオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」、同じくオランダ勢で前大会2位のトゥエンテ大学「Solar Team Twente」、同4位のアメリカ・ミシガン大学、同5位のベルギー「Punch Powertrain Solar Team」と強豪チームが出そろいました。注目チームのニューマシンを一目見ようとその他のチームのメンバーや関係者らの熱気も高まり、検査の合間にはそれぞれのマシンの特徴について意見を交わし合う様子も見られました。熱心に「Tokai Challenger」を観察していたNuonのメンバーは、「優勝を争うのは私たちNuonと東海大、Twenteだと思いますが、Tokai Challengerは形状やマシン内部の構造が整ったよいマシン。一番のライバルになりそうです」と真剣な表情で語りました。
終了後、チームはダーウィンでの拠点であるペンタゴン・フリート・サービス社の施設に戻り、さっそくミーティングを実施。再車検項目の共有や今後に向けた課題、メンバーの作業割り当てについて話し合いました。マシンの調整にあたるチームに、本大会の創設者で国際ソーラーカー連盟会長を務めるハンス・ソルストラップ氏やイタリアのソーラーカーチームで監督を務めるジュイセッペ・コイア氏、チリで開催されているソーラーカーレース「カレラ・ソーラー・アタカマ」主催者のリアンドロ・バレンシア氏ら海外の関係者が来訪。コイア氏が本場仕込みのパスタをふるまい、学生たちを激励。ソルストラップ氏は、「マシンを見るに優勝は東海大とNuonの2強で争われるでしょうが、空力性能などの面で東海大が有利ではないかと思っています。しかし、レースはさまざまな要因が勝敗を分けます。普通は”グッドラック”と言うのでしょうが、チームは自らがラックを呼び込まねばなりません。自分たちがベストだと信じて頑張ってほしい」とエールを送りました。
2017年10月03日
世界最大級のソーラーカーレース「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」(BWSC)で3大会ぶりの世界一奪還を目指すソーラーカーチームは9月20日に先発隊が日本を出発。翌21日にメルボルンで空輸したマシン「Tokai Challenger」を受け取ると、レースのゴールとなるアデレードからスタート地点のダーウィンまで逆走してコースの状態を視察しました。また同時に木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)らが別動隊としてダーウィンからアデレードまでを走行し、標識や制限速度などを念入りに確認。後発隊も26日に日本を離れ、28日にはメンバーがダーウィンに集結し、マシンやサポートカーの整備を開始しました。
先発隊がオーストラリアに出発して2週間が経過した10月3日は、翌4日に公式車検を控えていることもありマシンの整備を続けています。また、今回からレギュレーションが変更となり、これまでチームメンバーがサポートできたコントロールポイントでの充電をドライバーが一人で行うほか、レース期間中の充電作業では車載した部品以外を使用できなくなったため、充電時におけるマシンの姿勢や機構の整備も時間をかけて再確認しました。チームマネージャー(学生リーダー)の武藤創さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「コースの調査では独自に開発したキャンプ地点や道路状況などの情報をGPSと合わせて表示するマップシステムの動作確認も行いながら3000kmを走ってきました。ダーウィンに入ってからも連日早朝から夜中まで作業が続き、メンバーには疲れも見え始めています。しかし、明日の車検はレース出場のためには大きな関門であり、お互いにサポートし合いながら体調をコントロールしているところです。一致団結して一つひとつ課題をクリアしていきます」と話します。
また、車検ではマシンの前を走る先導車やマシンの直後を走りチーム運営の要となる司令車も対象となるため、こちらも警光灯の取り付けなどを急ピッチで進めています。サポートカー整備班長の板山侑豊さん(工学部電気電子工学科3年次生)は、「今大会で使用するサポートカーはマシン運搬用のトラックも含めて6台ありますが、屋根に取り付けるルーフキャリアのサイズ調整などに手間取り、準備は想定していたよりも進んでいない状態です。ただ、サポートカーもレースを進めるには必要不可欠であり、ペナルティの対象にもなります。もちろん安全に気を付けながら、メンバーが力を合わせて間に合わせます」と力を込めました。
2017年09月20日
東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームが、今年10月8日(日)から15日(日)にかけて、オーストラリアのダーウィンとアデレード間で開催される世界最大級のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ2017」に参戦します。本学チームは09年と11年に開催された同レースで優勝しましたが、13年大会では惜しくも準優勝、15年の前回大会では総合3位に終わっており、今大会で世界一奪還を目指します。なお、今回の参戦は学校法人東海大学の建学75周年記念行事の一環として位置付けています。
学生らが新たに製作した2017年型「Tokai Challenger」は、研究開発段階で世界トップレベルの変換効率を誇るパナソニック製「HIT®太陽電池」とリチウムイオン電池などを搭載したほか、東レから供給を受けた炭素繊維「トレカT800開繊織プリプレグ」を使用したCFRPボディを採用。大会の冠スポンサーであるブリヂストン製のソーラーカー用タイヤ「ECOPIA with ologic」を装着するなど、多数の国内有力企業から協力を得て、太陽電池面積が2/3に縮小されるなど厳しくなった新レギュレーションに対応した新型マシンの開発を進めてきました。
8月29日には湘南キャンパスのTechno Cube(19号館)で、報道機関などを対象とした参戦体制発表会を開催。新聞社やテレビ局、自動車専門誌の記者ら多数が出席しました。本学の山田清志学長、パナソニック株式会社エコソリューションズ社エナジーシステム事業部ソーラービジネスユニット長の吉田和弘氏、東レ株式会社産業材料事業部長兼自動車材料戦略推進室主幹の奥村勇吾氏、株式会社ブリヂストン執行役員ブランド戦略担当の鈴木通弘氏、チーム総監督の木村英樹教授(工学部電気電子工学科・現代教養センター所長)、学生代表の武藤創さん(工学部動力機械工学科2年次生)が登壇しました。
まず、山田学長があいさつに立ち、協力企業や支援をいただいた関係者への謝辞を述べるとともに「本年は学校法人東海大学建学75周年に当たります。レースに臨むにあたって、その節目を祝うにふさわしい結果を残してくれると期待しています」と学生たちに期待を寄せました。続いて新型マシンを披露し、木村教授と武藤さんが車両に使用された技術や大会自体の概要、チーム体制について説明。木村教授はマシンに用いられた最新技術とサポート企業を紹介し、「高度な省エネ・創エネ技術を追求することで、日本の国内企業・団体との連携が進み、主要なパーツが日本製のみで構成される唯一のチームとなりました。これらの協働は学生たちにとっても大きな学びの機会となっています」と語りました。また、吉田氏と奥村氏、鈴木氏がそれぞれ太陽電池やタイヤ、炭素繊維の特徴を解説するとともに本学チームへの激励をメッセージが送られました。
最後に行った質疑応答では、「17年型マシンはどこに力が入っているのか」「開発にあたってこだわったポイントは?」などの質問が寄せられ、木村教授と武藤さんら登壇者が回答。終了後もそれぞれに記者の質問に答えるなど、大きな関心が寄せられている様子がうかがえました。
今後のチームは、9月5日(火)にマシンをメルボルンに空輸。先発隊が20日(水)に出国し荷物の受け取り、搬送やコースの下見などを経て28日(木)にはチーム全体がスタート地点のダーウィンに集まり、本番へと備えます。武藤さんは、「マシンが完成し、発表会を行うことができてうれしく感じています。しかし、大会でよい結果を残すためにはここからが本当に大切になります。応援してくれる方たちの熱意を背負い、心にとどめて本番に向けてさらに頑張ります」と意気込んでいます。
「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」について
「ワールド・ソーラー・チャレンジ」は太陽光のみを動力源として、オーストラリアの北部の都市・ダーウィンから南部のアデレードまでの約3000kmを走破するタイムを競う、世界最大級のソーラーカーレースです。1987年に第1回大会が開催され、99年以降は隔年で開催。今回で14回目となります。今大会には、世界の22の国と地域から43チームが参戦します。レースはチャレンジャークラス、クルーザークラス、アドベンチャークラスの3カテゴリーに分かれており、本学は世界最速を目指すチャレンジャークラスにエントリーしています。
【開催日程】2017年10月8日(日)~15日(日)
【会場】オーストラリア ダーウィン~アデレード(約3,000km)
【主催】South Australian Motor Sport Board
【大会スケジュール】
10月3日(火)~6日(金) 車検
10月7日(土) 公式予選
10月8日(日) ダーウィンをスタート
10月15日(日) 大会終了・表彰式