国際会議 ISITA2026 で大学院生および教員が発表

情報理論やその応用技術に関する国際会議 ISITA (The International Symposium on Information Theory and Its Applications) 2026が2026年11月1日から4日に沖縄コンベンションセンターで開催され、情報通信学研究科情報通信学専攻の大学院生3名および柿崎淑郎教授が発表を行いました。ISITAは1990年から隔年で開催されている歴史のある国際会議で、ISITA2026は発表論文数109件、参加者数200名程度の規模で開催されました。

11月2日には修士1年次生の巽浩太さん(指導教員:大東俊博教授)による以下の発表が行われました。

Refining the Evaluation of Diffusion Property for SIMON Variants
Kota Tatsumi, Hayato Watanabe, Ryoma Ito, and Toshihiro Ohigashi

巽さんたちの発表は、米国の国家安全保障局(NSA)が2013年に提案したブロック暗号であるSIMONの変種に関する安全性解析に関するものです。従来の研究ではAIを用いた手法により,パラメータをある特定のルールの値に変化させたSIMONに未知の脆弱性があることが示唆されていました.巽さんはこの未知の脆弱性について計算機シミュレーションおよび拡散性能に関する理論式の厳密化を行うことで,安全性解析の精度を高めています。


11月4日には大学院生2名と柿崎教授の発表が行われました。

修士2年次の小松崎凌平さん(指導教員:山本宙教授)は以下の発表を行いました。

Expanding the Search Space for Fake QR Codes Suitable for Long-Distance Laser Irradiation
Ryohei Komatsuzaki, Dai Itakura, Taiga Manabe, Toshihiro Ohigashi, Yoshihisa Takayama, Hiroshi Yamamoto

小松崎さんたちの発表は、QRコードが潜在的にもつ脆弱性として知られるようになった偽装QRコードの中でも不可視レーザーを用いて攻撃する動的偽装QRコードについてのものです。符号理論を利用した新しい効率的な動的偽装QRコードの探索方法を示し、実際に発見した動的偽装QRコードに対して従来の2倍の距離である200mからの攻撃が成功したことを報告し、対策方法に関する議論を行いました。

修士1年次の粕谷悠翔さん(指導教員:山崎悟史准教授)は以下の発表を行いました。

A Processing-Time Evaluation Framework Based on Channel Capacity for Wireless Federated Learning
Yuto Kasuya and Satoshi Yamazaki

粕谷さんたちの発表は、各端末で学習したモデルのみをサーバにて統合することで、プライバシーに配慮したAIモデルを構築する連合学習に関するものです。その無線通信環境への適用を目的に、通信環境、学習条件、計算機性能を考慮した処理時間の算出法を提案し、データをサーバに集める従来の集中学習と比較して、処理時間の観点で連合学習が優位となる条件を理論解析と計算機シミュレーションにより明らかにしました。

また、柿崎教授はTurnt Up Technologiesの津田侑博士および大東教授と共同研究の成果として以下の発表を行いました。

Analysis of security.txt Adoption in Global CSIRT Communities
Yoshio Kakizaki (Tokai University, Japan), Yu Tsuda (Turnt Up Technologies, Inc., Japan), Toshihiro Ohigashi (Tokai University, Japan)

柿崎教授らの発表では、脆弱性報告の連絡先を示す標準である security.txt (RFC 9116) について、世界と日本のCSIRTコミュニティを対象に、導入実態を調査しました。調査結果として、政府が推奨・義務化している国ほど導入が進むこと、一方で日本では早期警戒パートナーシップの存在が導入障壁になることを明らかにしました。サイバー攻撃が頻発する現状において、脆弱性報告エコシステムに対する一石を投じた内容です。