観光学部卒業後に大学院文学研究科文明研究専攻(後期)を修了(博士<文学>を取得)し、現在は研究生の二重作昌満さん(指導教員=観光学部観光学科・田中伸彦教授)が、8月20、21日に長野県阿智村・昼神温泉郷を拠点に世界に向けてオンライン開催された日本レジャー・レクリエーション学会が主催する「The First International Meeting of Leisure and Recreation Studies in Japan(第1回レジャー・レクリエーション研究国際会議)」に参加。「EXCELLENCE AWARD(優秀賞)」を受賞しました。同学会は、レジャーやレクリエーションの発展に向け、観光や教育、健康などさまざまな観点から科学的な研究に取り組む学術団体です。2020年に設立50周年を迎えたことを記念して、「レジャー・レクリエーション教育の軌跡」をテーマに、初の国際会議が開催されました。研究発表では、最優秀賞1名、優秀賞4名が選出されました。
学部や大学院で学び、映像という知的財産を用いるコンテンツツーリズムの一環として「特撮ツーリズム」の歴史を調査してきた二重作さんは、2013年から同学会に所属し、毎年11月に開かれる発表大会に参加するとともに、査読論文を投稿してきました。今回の国際学会では、配信拠点となった昼神温泉郷にある多目的レンタルスペース「昼神空間」で実行委員の1人として設営・運営にも尽力。機材調整や司会進行などを担うともに、研究者としてシンポジウムや研究発表にも臨みました。
研究発表では、「特撮ツーリズムの背景と特徴~円谷プロダクション制作の『ウルトラマン(1966)』シリーズを対象に」をテーマとし、昨年生誕55周年を迎えたウルトラマンシリーズの観光史を解説。円谷プロダクションが主催するアクションショーやテーマパーク、東日本大震災をはじめとする被災地支援「ウルトラマン基金」などについて、収集した文献や現地調査の結果を報告しました。55年の歴史を時系列にまとめるとともに、「単発開催型」「常設展示型」「恒例開催型」「地域資源型」「チャリティーイベント型」「オンラインイベント型」の6種類のイベント形態へと多様化した過程を指摘し、「日本で最も長く放送されているヒーロー番組の1つであるウルトラマンシリーズに関するイベントは、自然災害や疫病の世界規模での拡大といった社会情勢の変化に応じて、新たなイベントスタイルを創出してきました。この先もまた新たな形でのイベントが誕生する可能性もあり、注目していきたい」とまとめました。
二重作さんは、「コロナ過以降、オンラインでの学会にはいくつか参加してきましたが、実際に世界各地の研究者らが発表・交流する場は久しぶりだったので、ネットを介して世界とつながることができるのだとあらためて実感する機会になりました」と振り返ります。また、受賞について、「運営も兼任していたので、まさか自分が受賞できるとは思ってもいませんでした。ウルトラマンのイベント企画が度々開催されてきた阿智村を拠点とした国際会議で、この発表を評価してもらえてとてもうれしいです。この受賞にあぐらをかくことなく、特撮ツーリズムの認知を高めるためにさらに研究に取り組んでいきます。今後は、日本国内だけでなく海外で取り組まれている特撮関連の観光事業にも目を向けていければ」と意欲を語りました。