大学院体育学研究科が「2022年度第2回健康・スポーツ科学セミナー」をオンラインで開催しました

大学院体育学研究科では11月10日に、「2022年度第2回健康・スポーツ科学セミナー」をオンラインで開催しました。このセミナーは、学内外から健康やスポーツ科学の専門家を招き大学院生や教職員に知識の幅を広げてもらおうと、年に3、4回開催しています。今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により、WEBビデオ会議システム「Zoom」を用いてオンラインで実施。今回は國學院大学人間開発学部准教授の青木康太朗氏が「かわいい子には体験を!~すべての子どもが豊かな体験を享受できる社会を目指して~」と題して講演し、大学院生や体育学部の学生、教職員ら約50名が参加しました。

青木氏は初めに、事前に参加者から募集した「体験活動」に関するアンケート結果をもとに、体を動かす経験や教育のあり方について解説。「子どもたちが社会的自立に向けて成長していくためには、幼少期からさまざまな活動に挑戦して経験を積み重ねていくことが重要です」と話しました。続いて、幼少期の自然体験を通して、自尊感情や外交性の向上、自律的な行動習慣が身につくなどといった体験から得られる効能について説明。また、さまざまな感情や豊かな感受性、五感を通して得た感覚から「感性」が構築され、生きる力を育む基盤となると解説しました。さらに、年代が若くなればなるほど小学生時代の自然体験活動の経験が減少している調査結果を報告。家族や友だちと一緒に行う自然体験は近年少し増えてきたものの、公共機関や民間団体が実施する活動への参加人数は減っていると説明し、「原因は、子どもが関心を示さなくなっているだけでなく、家庭の経済状況が大きく関係しています。費用が保護者の時間的負担から低所得世帯における実施率の低下は著しくなっており、経済格差が体験格差につながっています」と指摘しました。最後に、多様な体験を土台とした環境づくりの重要性や子どもの成長を支える方法について説明した青木氏は、「子どもが『やりたい!』と思うようにするためにしっかりと考えたうえで、家庭や地域、学校が協働して体験活動を推進していくことが大切です」と語りました。