湘南校舎で日本バイオレオロジー学会の年会が開かれました

6月4、5日に湘南校舎で、日本バイオレオロジー学会の年会が開かれました。バイオレオロジーは、「生体およびそれを構成する物質の流動と変形の科学」を意味し、バイオメカニクスや医用工学分野などと関連する境界領域の学問です。本学医学部の後藤信哉教授が理事長を務める同学会は、生命科学や臨床医学、食品科学、理工学など幅広い学問分野の間で交流プラットフォームの役割を果たすべく、年会の開催や学会誌の発行を通して、国内外に情報発信・共有を行っています。

今年度の年会は、本学マイクロ・ナノ研究開発センターの喜多理王所長が年会長を務め、多数の本学教員が実行委員を務めました。会期中は約100名が参加し、口頭発表では「血管内治療」や「循環器系ダイナミクスと疾患」「食品およびソフトマターのレオロジー」などのテーマごとに最先端の研究成果が報告され、ポスター発表も行われました。5日の表彰式では各賞が発表され、同学会の創立者の名を冠した「岡小天賞」には九州大学の丸山徹教授らによる「赤血球の変形能と血液レオロジー」が選出され、論文賞には早稲田大学の朱暁冬研究員による「有限要素法を用いた半周性石灰化病変冠動脈モデルにおけるカッティングバルーンの拡張解析」が選ばれました。また、若手研究者の成果を称える学会奨励賞には、本学大学院総合理工学研究科博士課程3年次生の青木拓斗さん(指導教員=工学部・岡村陽介教授)がまとめた「未変性アルブミンナノ粒子の創製と新規DDS担体への応用」が選出され、優秀ポスター賞には山形大学大学院理工学研究科博士課程2年生の飯田茜さんによる「脳脊髄液流動を想定した開放系空間における脂質膜上のアミロイドβ凝集の単分子観察」と本学大学院理学研究科1年次生石山泰成さん(指導教員=喜多所長)の「ポリ-L-乳酸超薄膜の特異的な機械的性質 ―結晶化速度の膜厚依存性との関係―」が選ばれました。青木さんは、「臨床医学の先生方も数多く参加される中での受賞をとてもうれしく感じています。今後も医学界の発展はもちろん、社会貢献につながる研究を続けていきたい」と抱負を語り、石山さんは、「学会での発表は初めてだったので緊張しましたが、優秀ポスター賞に選んでいただき自信につながりました」と笑顔を見せていました。

後藤教授は、「本年会は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年は誌上開催、21年はオンライン開催となりましが、今年度は万全の感染対策のもとで再び数多くの研究者が集い、研究交流できたことは非常に喜ばしく、意義深いものなったと感じています」と語りました。また、喜多所長は、「多彩な分野が融合するバイオレオロジー分野において今回のような研究交流は非常に重要であり、対面形式で顔と顔を突き合わせて議論できたことは今後の研究発展につながるものだと考えています。素晴らしい会の開催は、本学教職員の皆さまのご理解とご尽力があってこそ。心から感謝しています」と話しています。