「総合農学研究所 ランチョンセミナー」を初開催しました

総合農学研究所では6月16日に阿蘇くまもと臨空キャンパスで、「ランチョンセミナー」を初開催しました。教員の研究内容や最新の研究話題を共有しようと企画したもので、第1回は本研究所の今川和彦所長が講師を担当。「研究に魅せられて From basic science to the world and fields」をテーマに登壇し、学生や教員ら約40名が参加しました。

今川所長は、49年前にアメリカで農業研修生として働いたことをきっかけに研究の道に進んだ経緯について、「1300頭のウシを観察し続けた結果、800頭ほどの顔とナンバーが一致するようになりました。そこで人工授精にも取り組み、ネブラスカ大学の大学院に進んで研究を続けました」と振り返りました。続けて、現在も取り組んでいるウシの繁殖に関する研究について詳しく解説し、日本における牛肉の輸入量と生産量のデータも示して、日本の畜産業が輸入に依存している現状を指摘。さらに、日本のウシの分娩間隔が425日と長いことや、受胎率の低下について触れ、「受胎率が10%低下すると日本の畜産業に年間約50億円の損失をもたらします。また、受精率は95%と高い数値を維持しているにも関わらず、妊娠率は50%にとどまっており、この問題を解決するための研究を進めています」と話し、「私の研究室では基礎研究の成果を世界に発信し続け、これをもとに技術を開発して生産現場に生かそうと取り組んでいます。こうした取り組みがもっと進んでいけば日本の経営基盤の強化にもつながります」と力説。共同研究の大切さを説くと共に、自身が国内外の多くの研究機関と協力して取り組んでいる研究についても紹介しました。講演後には、アメリカでの経験やキャリア形成について質問が挙がり、今川所長が詳しく回答しました。

当日の様子は、以下のリンクからご視聴いただけます。
東海大学総合農学研究所 ランチョンセミナー第1回 東海大学総合農学研究所 所長・教授 今川 和彦

次回、第2回目のランチョンセミナーは、7月14日(月)に開催予定です。
講 師:食生命科学科 永井 竜児 教授
テーマ:世の中分かっていないことだらけ ~ミトコンドリアの機能異常が誘導する新たな老化促進機構の発見~