第8回ランチョンセミナー「植物の環境適応を探ることは、何につながるのか?」を開催しました

総合農学研究所では4月24日に阿蘇くまもと臨空キャンパスで、「第8回ランチョンセミナー」を開催しました。教員の研究内容や最新の研究話題を共有しようと月に1回程度開いているものです。今回は総合農学研究所の加藤木高広特定助手が「植物の環境適応を探ることは、何につながるのか?―研究の展開と大学での挑戦を通して―」をテーマに講演。学生や教職員約32名が参加しました。

加藤木特定助手は、植物の環境適応研究の重要性について説明し、地球上には約35万種の植物が存在する一方で、人類が利用している植物は約1%にとどまり、約50%が絶滅の危機に瀕していることを紹介。「植物が環境に応じて形態や機能を変化させる『表現型可塑性』を理解することは、植物資源の保全や有効活用につながります」と語りました。例としてワサビを挙げ、水中と土上で葉の形態が大きく変化することを示しながら、植物が環境に適応する仕組みについて解説しました。食虫植物で約250種におよぶモウセンゴケ科を対象とした研究では、染色体数やゲノムサイズの違いを利用した種の識別法を開発したことを説明。特にモウセンゴケ、イシモチソウ、トウカイモウセンゴケの3種の比較研究では、外部形態では識別が難しいものの、染色体数がそれぞれ20本、40本、60本と異なることや、葉の表面に生えるトライコーム(毛)の形態の違いによって識別できることを明らかにしたと報告しました。さらに、光環境が植物の機能性成分に与える影響についても触れ、異なる波長の光を照射した際の二次代謝産物の変化を調べた結果、青色光によって有用な機能性成分の生産量が増加することを発見したと説明。最後に、「今後は科研費を活用してゲノム解析による遺伝的多様性の研究を進める予定です。植物の環境適応を理解することは、生物多様性の保全や有用植物資源の開発につながります」と展望を語りました。