海洋科学博物館で「博物館実習2」Cコースの授業を開講しました

海洋科学博物館で10月11日から26日まで、学芸員の資格取得を目指す静岡キャンパスの学生が履修する「博物館実習2」のCコース(指導教員=海洋学部水産学科・太田勇太助教)の授業を開講しました。学芸員課程開講科目の集大成として位置づけられるこの授業は、学生がこれまでの開講科目で得た学びを生かして学芸員の実務を経験するものです。本博物館ではこれまでも学生の実習を受け入れ、学生が博物館の来場者に向けたパネル制作などに取り組んでいましたが、同館の一般公開を2024年10月末に終了したため、今回初めて付属静岡翔洋小学校と連携して実施することになりました。2025年度は約40名の学生が3つのコースに分かれ、静岡翔洋小学校、同幼稚園、そしてサマースクール参加の子どもたちに海の生き物の面白さを伝える展示や体験を実施しました。

8名が参加したCコースでは、博物館の学芸員資格を持つ職員による指導のもと、静岡翔洋小学校内に4つの水槽を設置する「ミニ水族館」の作成に取り組みました。学生たちは、「共生」「色」「棘と皮」「住み家」のテーマに合わせて、展示で扱う生き物を決め、生き物の生態をまとめた解説パネルの作成や水槽内のレイアウトを考案。展示物に触れて学ぶ体験学習「ハンズオン展示」を目指して、棘がないウニの殻に触れる展示やパネルをめくると解説が見られる仕掛けなどを取り入れたほか、4つの水槽が一つのまとまった展示に見えるよう、文字やパネルの大きさなどを統一するなど工夫も凝らしました。19日から25日までの期間は同校に「ミニ水族館」を設置し、学生たちは子どもたちの前で展示解説を行いました。また、ワークシートで子どもたちが展示内容をどれだけ理解できたかを確かめることで展示の教育効果も検証しました。26日の総括では、学生が実習で得た学びや気づきを発表し、実習を担当した野口文隆学芸員と冨山晋一学芸員が講評を述べました。

学生たちは、「ヤドカリが貝殻の代わりにプラスチックごみを住み家にする様子を展示で紹介したところ、ワークシートに“環境問題への意識が強くなった”との回答があり、展示の意図が子どもたちに伝わっていてうれしかった」「幼いころから訪れていた海洋科学博物館で、実際の学芸員の仕事や裏側を知れる貴重な経験になりました」と話しました。太田助教は、「博物館の教育的役割や資料の扱い方など、これまで教室で学んできた知識を生かして積極的に取り組む学生の姿が見られました」と語っていました。。