生物学部海洋生物科学科の手良村助教が有人潜水調査船「しんかい6500」で熊野灘から採集されたクスミアカフウリュウウオの論文を執筆しました

生物学部海洋生物科学科の手良村知功助教がこのほど、有人潜水調査船「しんかい6500」で熊野灘から採集されたクスミアカフウリュウウオの新産地報告とDNAメタバーコーディングを用いた食性解析の成果をまとめた論文を執筆。2025年12月10日に、国際学術誌『Thalassas: An International Journal of Marine Sciences』に掲載されました。

「しんかい6500」と手良村助教

本研究で用いられたクスミアカフウリュウウオは、24年6月に手良村助教が参加した東京大学大気海洋研究所/JAMSTECの共同利用航海 YK24-09S によって、熊野灘(和歌山県・潮岬から三重県・志摩半島まで、約140kmにわたって紀伊半島東方沖に広がる海域)の水深約900m地点で採集されたものです。この調査によって、熊野灘にクスミアカフウリュウウオが生息していることを明らかにするとともに、本種が生息する環境、ゴカイや節足動物を捕食する食性の一端を解明しました。

クスミアカフウリュウウオ

手良村助教は、「『しんかい6500』はJAMSTECが運用する、日本で唯一、研究者が実際に搭乗して深海調査を行うことができる有人潜水調査船です。今回のように、人が深海に潜航することで、深海魚の生きた姿を直接観察し、その生態解明に貢献できることが期待されます。私自身は船上にいて『しんかい6500』から送られてくるリアルタイム画像を見ながらの調査となりましたが、間近に貴重な深海生物と接する有益な機会となりました。また、胃の消化物のDNAを解析した結果、クスミアカフウリュウウオが底生環境に依存し、このエリアにおける食物連鎖の中~上位層に位置する可能性も分かりました。今後もDNAメタバーコーディングの手法とノウハウを活用し、北海道近海における深海魚の調査などもさらに展開していく考えです」と話しています。

熊野灘に潜航する「しんかい6500」
「しんかい6500」でクスミアカフウリュウウオを採集したJAMSTEC研究員の波々伯部夏美さんと三重大学生物圏生命科学専攻の木村妙子教授、「しんかい6500」パイロットの大西琢磨さん