大学院生物学研究科1年次生の大岩弘啓さん(指導教員=櫻井泉教授・生物学部海洋生物科学科)が、12月10日に網走市のオホーツク・文化交流センターで開かれた令和7年度日本水産学会北海道支部大会で研究成果を発表。最優秀学生講演賞に選出されました。同学会北海道支部では毎年1回、支部大会を開いており、北海道内の研究者や大学院生らが日ごろの研究成果を発表。最優秀講演賞と最優秀学生講演賞の表彰が行われています。今回は、学生、大学院生による発表は9件ありました。

大岩さんは、「苫小牧沿岸に生息するウバガイの生殖周期と栄養蓄積の関係」のテーマで発表。苫小牧沿岸に生息するウバガイを対象に、生殖周期と栄養蓄積の関係を明らかにすることを目的としたもので、2023年12月から24年12月にかけて毎月採集を行い、器官の相対重量変化、水温、斧足中の栄養成分(タンパク質・脂質・炭水化物)の季節変動を解析しました。その結果、生殖巣重量は低水温期の12月から増加し、4月に最大、5~6月に減少する明瞭な季節変化を示し、ウバガイは冬季の成長期、春季の成熟期、初夏の放出期、夏~秋の回復期からなる生殖周期を有することが示唆されました。また、消化器官重量も同様の変動を示し、低水温期に消化吸収能力が高まることで生殖巣発達が支えられていると考えられるとまとめました。一方、斧足と呼ばれる器官の栄養成分では、冬~春に炭水化物と脂質が蓄積され、夏~秋にかけて減少する傾向を確認。これらの結果から、ウバガイは消化吸収能力が高まる冬季~春季に栄養を蓄積して生殖と生命維持に利用し、消化吸収能力が低下する夏季~秋季には蓄積栄養を消費・変換して次期の配偶子形成に備えるという、季節に応じた栄養利用戦略を持つことを明らかにしました。

1月8日には、指導教員の櫻井教授と共に平木隆之副学長(札幌キャンパス担当)にこの成果を報告。席上、平木副学長から発表時の様子や受賞の感想、将来の展望を尋ねられた大岩さんは、「櫻井教授の研究室からは先輩方がこの賞を受賞してこられたので、自分も後に続けてうれしく感じています。研究ではまだ課題が残っているので、詳しい部分を詰めていく必要があります。将来は水産試験場や水産研究所での研究職に就きたいと希望しているので残り1年間の大学院生活をしっかり送って備えていきます」と語りました。また、櫻井教授は、「北海道大学の大学院生による二ホンウナギに関する研究など興味深く、しっかりした内容の発表が多数ある中、大岩さんが結果を残してくれて喜びもひとしおです。普段から研究室でも頼りになる存在で、私がライフワークとして取り組んできたウバガイに関する研究をしっかりと継続してくれており、議論を通じて私自身刺激を受けています。研究室では先輩たちの受賞実績が後輩のモチベーション向上につながっており、これからもこの流れをつないでいきたい」と語りました。
