札幌キャンパスの北海道地域研究センターでは2月28日に、札幌市・かでる2・7で開催された2025年度地域デザイン学会北海道地域部会の第8回研究会を共催しました。本学副学長(札幌キャンパス担当)の平木隆之教授(国際文化学部)が部会長を務める同部会の研究会は、本学総合研究機構の協賛で開かれたもので、同学会に所属する研究者や本学教職員が参加しました。

今回は、地域の課題解決に向けた住民参加の高度化と多様化、持続性について考察することを目的に「地域おこし協力隊とパブリックアチーブメント~住民参加を超えて~」をテーマに設定。初めに平木教授が趣旨説明に立ち、「昨年度の本研究会では北海道総合開発計画に住民参加が開発の主体として明記されたことを受け、北海道が『地域』としてもつポテンシャルに着目しました。今年度のテーマであるパブリックアチーブメントでは、地域住民が地域社会の課題解決や価値創造に関わり、傍観者ではなく当事者になることが重要です。住民が市民として科学的成果を実装し、地域の価値創造と課題解決に貢献することが期待されています。そこで本研究会では、住民を市民へとエンパワーすることにより住民参加を高度化するための地域おこし協力隊の役割について考察したいと考えています」と述べました。



会では、基調報告として北海道科学大学未来デザイン学部助教の横山貴志氏が「地域おこし協力隊のこれまでとこれから―音威子府村の試みから―」として講演。研究報告では、乙部町地域おこし協力隊の小倉龍生氏、知内町地域おこし協力隊の大関太一氏がそれぞれの実践活動の様子を紹介しました。続いて本学北海道地域研究センター所員の植田俊准教授(国際文化学部地域創造学科)が「地域おこし協力隊活動にみるパブリックアチーブメントの意義」をテーマに登壇。北海道における地域振興と地域開発の現代的意義について言及し、札幌一極集中と地方の縮小社会化という現実への直面を指摘し、神恵内村を対象にした事例研究の成果を発表しました。「特に注目すべき点として、協力隊員の基礎づくり活動が重要。外部からの人材や資本を導入する前に、まず村内の活性化を図る取り組みとして、交通安全週間への参加、村民運動会への選手としての参加、神社の例大祭での神輿担ぎなど、地域の既存活動への積極的な参加を通じて信頼関係を構築したことが成功の要因となります」と語りました。




パネルディスカッションでは植田准教授がファシリテーターを務め、横山氏、小倉氏、大関氏が登壇し、会場から寄せられた質問に回答。地域への関わり方をめぐる考え方の違いや地域人材の確保と育成における行政の課題、協力隊の任期が原則3年であることを踏まえた活動の継続性について熱心な議論が交わされました。最後に、同学会理事である本学経営学部の成川忠之教授が総括し、地域デザイン学会が提唱する、ゾーン(Zone/地域・区切られた空間)、トポス(Topos/場所性・場の唯一無二性)、コンステレーション(Constelation/解釈枠組の提供)、アクターズ・ネットワーク(関係社会グループ)を組み合わせて、地域活性化の可能性を発見・発現させるフレームワークであるZTCAデザインモデルの観点から議論を整理しました。