寿都町の北海道臨海実験所で研究発表会を開催しました

生物学部海洋生物科学科では、本学が北海道寿都町に設置している北海道臨海実験所を活用した研究報告会を2月26日に開催しました。この催しは、本実験所における研究活動の成果を地元市町村役場や漁業協同組合、漁業者、一般市民の皆さまに知ってもらうと同時に、地域の方々とのコミュニケーションを通じた研究課題の掘り起こしを目的として、2013年度から行われているものです。

会場となった実験所講義室には、地元の寿都町役場の職員、寿都漁業協同組合の職員・漁業者ほか、近隣の島牧村役場や島牧漁業協同組合、北海道庁後志振興局水産技術普及指導所の職員、水産試験場の研究員、水産加工会社・建設会社の社員など計46名もの方々が参加。発表会ではまず臨海実験所所長を務める本学部の櫻井泉 教授が、今年度の活動内容と来年度の活動計画を報告。続いて、櫻井研究室に所属する大学院理工学研究科の1年次生1名と生物学部海洋生物科学科の4年次生3名のほか、企業研修で出席できなかった4年次生に代わり研究を引き継ぐ3年次生3名から臨海実験所を活用した研究成果を各10分ずつ発表し、続いて各5分程度の質疑を行いました。また、本学札幌教学課 三浦上級技術員より自主研究として取り組んだイワガキ養殖技術開発に向けた人工種苗生産の経過を報告しました。

指導する櫻井教授は「現在、寿都町沿岸では、大型海藻が生えないことにより漁業生産の低迷が続く磯焼け現象が深刻な問題となっており、その対策として施肥等の事業が行われていますが、残念ながら明瞭な効果は現れていないのが実情です。こうした中、当臨海実験所では、寿都町沿岸の磯焼け現象の原因解明と対策構築の一環として、寿都町役場と共同で上記の研究課題に取り組んできました。質疑では、海藻の幼芽を食害することが疑われている巻貝の行動や、磯焼け現象による餌不足で実入りが悪いウニの成長様式について関心が集まり、漁業者からは対策に関する意見・質問を多数いただきました。また、マナマコについては、北海道内において現在最も有望視されている栽培対象種ということもあり、稚ナマコの餌料開発に注目が寄せられました。これらの質疑を通して、学生たちは自分が取り組んだ研究が社会で必要とされていることを改めて認識するとともに、今後の課題について整理ができたのではないかと、傍観していて感じたところです。今後も本学が地域産業の活性化に貢献すべく、こうした研究報告会を続けていきたいと考えております」と語っています。

2015年度 研究報告会 議題
 1.2015年度活動報告と2016年度活動計画について(臨海実験所長 櫻井 泉)
 2.2015年度研究成果について
・ 寿都町矢追における植食性小型巻貝の分布特性(小野寺理恵:修士1年)
・ 寿都湾におけるホタテガイ養殖場の環境評価(松ヶ崎光悦:3年)
・ 寿都町沿岸におけるキタムラサキウニの成長(春井弘志:4年)
・ 寿都漁港周辺のガラモ場における葉上動物群集の季節変化(野中亜友加:3年)
・ 寿都漁港周辺のガラモ場に生息する稚魚類の食性(熱田郁人:4年)
・ マナマコ種苗生産技術の改善に向けた有効餌料の検討(尾形結子:3年)
・ 空気ポケットフェンスを用いたマナマコ中間育成施設(大野史耶:4年)
・ 2015年度イワガキ種苗生産報告(三浦 博:技術員)

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