寿都町の北海道臨海実験所で研究発表会を開催しました

生物学部海洋生物科学科では、本学が北海道寿都町に設置している北海道臨海実験所を活用した研究報告会を2月20日に開催しました。この催しは、本実験所における研究活動の成果を地元市町村役場や漁業協同組合、漁業者、一般市民の皆さまに知ってもらうと同時に、地域の方々とのコミュニケーションを通じた研究課題の掘り起こしを目的として、2013年度から寿都町と留萌市にある2カ所の臨海実験所でそれぞれ行っているものです。

会場となった実験所の講義室には、地元の寿都町役場の職員、寿都漁業協同組合の職員・漁業者ほか、近隣の島牧村役場や島牧漁業協同組合、北海道庁後志振興局水産技術普及指導所の職員、国立研究開発法人寒地土木研究所の研究員、水産加工会社・建設会社の社員など計45名が参加。まず、臨海実験所所長を務める本学部の櫻井泉教授が、今年度の活動内容と来年度の活動計画を報告しました。続いて、櫻井研究室に所属する大学院理工学研究科の2年次生2名と生物学部海洋生物科学科の4年次生7名が研究成果を各10分ずつ発表し、続いて5分程度の質疑を行いました。

指導する櫻井教授は「現在、寿都町沿岸では大型海藻が生えないことにより、漁業生産の低迷が続く『磯焼け現象』が深刻な問題となっており、対策として施肥等の事業が行われています。しかし、残念ながら明瞭な効果は現れていないのが実情です。こうした中、当実験所では、寿都町沿岸の磯焼け現象の原因解明と対策構築の一環として、寿都町役場と共同で研究課題に取り組んできました。植食性小型巻貝がホソメコンブやフシスジモクなど大型海藻の幼胚体を摂餌することで、海藻群落の形成を阻害していることが明らかになったことを受けて、今後の対策について関心が集まり、出席者からは巻貝の利用方法などの意見もいただきました。また、マナマコについて、道内で現在もっとも有望視されている栽培対象種ということもあり、寿都漁港での中間育成や養殖展開に向けて意見を交換できました。出席者の皆さんから意見や質問を多数いただき、学生たちは自分が取り組んだ研究が社会で必要とされていることをあらためて認識するとともに、今後の課題について整理ができたのではないかと感じました。今後も地域産業の活性化に貢献するため、研究報告会を続けていきたいと考えています」と話しています。

2016年度 研究報告会 議題
1.2016年度活動報告と2017年度活動計画について(臨海実験所長 櫻井 泉)
2.2015年度研究成果について
・寿都町矢追におけるクボガイの生活年周期と海藻群落形成への影響(小野寺理恵=修士2年次生)
・寿都漁港周辺のガラモ場における葉上動物の個体群動態(宮崎弘樹=同)
・寿都町矢追におけるイシダタミの生活年周期と海藻群落形成への影響(楊彩嘉=4年次生)
・寿都漁港周辺のガラモ場に生息する稚魚類の食性(白戸遼司=同)
・寿都朱太川河口における稚魚類の食性(中川雄太=同)
・寿都湾におけるホタテガイ養殖場の環境評価(松ヶ崎光悦=同)
・マナマコ種苗に対するマコンブ仮根部粉末の最適給餌量について(尾形結子=同)
・マナマコ種苗に対するマコンブ仮根部粉末の給餌形態について(山本達之介=同)
・空気ポケットフェンスを用いたマナマコ中間育成施設の開発(麻畠梨沙=同)

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