総合研究機構「プロジェクト研究」成果発表会を開催しました

東海大学総合研究機構の2016年度「プロジェクト研究」成果発表会を3月6日に、湘南キャンパスで開催しました。本機構は研究の社会的使命を果たすとともに、国際的なアクティビティを発揮し、社会の進歩・発展に貢献することを目的として1976年に発足。学園の広範な研究活動の有機的結合や、研究・運営・開発を統合するとともに外部機関との共同研究、受託研究を積極的に推進し、産・官・学の積極的な研究交流をベースに目的の達成を目指しています。「プロジェクト研究」は学園の教員を対象に、戦略的および重点的に取り組む研究、将来的展開が可能なプロジェクトを重視し、競争的研究資金の獲得を目指す研究を公募して育成・支援するもので、3年間の採択期間を設けています。

この発表会は、採択2年目のプロジェクトが研究の途中経過を、最終年度となる3年目のプロジェクトがこれまでの実績と成果を発表するもので、教職員をはじめ学生ら約50名が参加しました。まず、吉田一也副学長(研究担当)があいさつに立ち、「このプロジェクト研究の企画には、学内の独創的な研究を推進していく狙いがあります。諸先生方の成果発表を通じて、研究の活性化ならびに本学の研究ブランド力をいかに上げていくかを考えていきたい」と述べました。続いて、15年度、16年度の採択プロジェクト研究の代表者や研究参加者が登壇し、それぞれの研究内容について進捗状況や成果を発表。その後、会場内に掲示された研究内容のポスターを前に、研究課題について意見を交わし合いました。

今年度は初の試みとして、内閣府総合科学技術イノベーション会議議員の原山優子氏と、07年度11月まで東海大学総合医学研究所所長を務めた東北大学副理事(研究担当)・医薬品研究開発推進室室長の宮田敏男氏による基調講演を企画しました。講演にあたり、山田清志学長が、「総合研究機構がこれまで取り組んできた成果を発表するとともに、内閣府や経済産業省からお招きした皆さまにご意見をいただきながら、我々大学側がこれからどういった研究をしていくべきかを考える機会にしていければと思います」と語りました。原山氏は、「第5期科学技術基本計画で日本の大学が目指すもの」と題し、総合科学技術・イノベーション会議が目指す研究者の増加率や大学が求められているミッションについて解説。「大学は人が集まり協力し合っていける場所。今後は学生との連携や、研究者それぞれが独自の目標を価値化していけることを推奨していきたいと考えています」と述べました。続いて宮田教授は、「大学からの医薬品・医療機器研究開発の現状と課題~大学の役割と新たな産官学の枠組みに向けて~」をテーマに、日本における医薬品開発の現状と課題を発表しました。宮田氏は、「大学がかかわる領域が広がってきている現代では、大学がどのような形で社会に貢献していくかを考えなければいけません。実用化研究を続けていくための人材育成も大学の課題です」と訴えかけました。

研究テーマと研究代表者および研究発表者は以下のとおりです(発表順)。

「医療応用を目的とした霊長類におけるアロの認識と拒絶・受容機構の解明」亀谷美恵准教授(医学部医学科基礎医学系准教授)
「ヒトiPS細胞由来肝組織を用いた肝疾患治療法の確立」紙谷聡英准教授(医学部医学科基礎医学系准教授)
「ニューロンCMOSインバータを用いた連想メモリに関する研究」藤本邦昭教授(基盤工学科電気電子情報工学科)
「セレンの反応性を利用した病原性タンパク質の化学的・生化学的手法による制御」金森審子教授(工学部生命科学化)
「医療用コンプトンガンマ線カメラの実用化への基礎開発」株木重人講師(医学部医学科専門診療学系)
「沖縄の水中文化遺産と『海底遺跡ミュージアム』総合プロジェクト」小野林太郎准教授(海洋学部海洋文明学科)
「レーザーによる大気拡散火山ガス観測法の開発と箱根火山モニタリング」大場武教授(理学部化学科)
「ゲノム編集動物作製基盤技術の確立と病態解析モデル作製への応用」大塚正人准教授(医学部医学科基礎医学系)
「東南アジアのFDI型都市化と地域社会変容に関する調査研究」内藤 耕教授(文学部アジア文明学科)
「災害・環境変動監視を目的としたグローカル・モニタリング・システムの構築による安全・安心な社会への貢献」長 幸平教授、内田 理教授(情報理工学部情報科学科)
「血液接触性医療材料における血栓付着メカニズムの解明―血小板活性化微細構造可視モデルの構築と新規材料の創生―」長谷部光泉教授(医学部医学科専門診療系)
「ヒトHLAに特異的に結合する新規定分子免疫抑制剤の開発」井上茂亮准教授(医学部医学科外科学系)
「運動を行う物体の非定常流体特性を予測する革新的流体・構造連成シミュレーション手法と実証試験装置の開発」高橋 俊准教授(工学部動力機械工学科)
「イルカから学ぶ抵抗・騒音低減技術~流体力学と生物学の接点~」稲田喜信教授(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻)
「高プロトン伝導性無機―有機ハイブリッド材料を用いた次世代型燃料電池の創製」伊藤 健准教授(理学部化学科)
「多剤耐性菌に対する次世代型薬剤の開発」笹川 昇教授(工学部生命化学化)
「膵癌・胃癌における細胞間接着分子Nectin/Neclの発現とmicroRNAによる制御機構の解析:新たなバイオマーカーの開発と創薬を目指した国際共同研究」平林健一講師(医学部医学科基盤診療学系)

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