公開講座「スポーツの『ボランティア』を考える」を開催しました

札幌キャンパスでは10月15日に紀伊国屋書店札幌本店で、東海大学公開講座ヒューマンカフェ(道民カレッジ連携講座)「スポーツの『ボランティア』を考える」を開催しました。

近年、パラ・スポーツ(障害者スポーツ)やスポーツイベントにおけるボランティアの重要性が高まっていることから、ボランティアの本質やイベントの運営体制などについて考えることを目的に企画。当日は国際文化学部地域創造学科の植田俊助教が司会・コーディネーターを務め、講師にスポーツ社会学が専門の順天堂大学スポーツ健康科学部准教授の渡正氏と、北海道大学教育学研究院助教の山崎貴史氏が登壇。地域住民など約30名が聴講しました。

はじめに植田助教が、今年2月に札幌市で開催された「第8回アジア冬季競技大会」の選手村となったアパホテル&リゾート〈札幌〉で学生とボランティア活動に参加した事例を挙げ、「スポーツの現場に行くと、ボランティアの力なくしてスポーツイベントは運営できなくなっていることを実感します。ただ、あくまでイベントの主役は選手であり、ボランティアは脇役という『分離』の状態は変わりませんし、札幌市が開催地に名乗りを上げている2026年の冬季オリンピック・パラリンピックが実施されるとなれば、パラ・アスリートのサポートも必要となるため、どのような体制、方法でのサポートをするべきなのか、皆さんと考えていきたいと思います」と企画意図を説明しました。続いて、車椅子バスケットボールやブラインドバスケットボールについて研究している渡氏が、1964年の東京オリンピック・パラリンピック開催時、パラリンピックのボランティアスタッフ「語学奉仕団」が急造で集められ、無償で運営のサポートにあたった歴史を紹介。「障害者の中にはスポーツに興味がない人の方が多いので、選手ではなくボランティアとしても障害者が参加することがスポーツを取り巻くボランティアにとって大切だと考えます」と語りました。また山崎氏は、ある大学の学生が車椅子ソフトボールのチームにボランティアとして参加する際、会場設営や用具の運搬だけでなく選手としても参加していると紹介し、「車椅子ソフトボールは、障害のレベルを点数化し規定に収まれば健常者も参加できる競技です。『プレーする』と『支える』という2つの行為が分離しないこの事例から、『競技参加型のボランティア』という形が見えてきます」と、新しい可能性について語りました。

講演後は参加者から、「一般的なボランティアとスポーツのボランティアの違いは何だと思いますか?」「知的障害者とのかかわり方を中高生に教えるにはどうすればいいでしょうか?」といった質問があり、会場全体でパラ・スポーツやボランティアについての知見を深めました。

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