「第1回ファッションローシンポジウム―RUNWAY to the LAW―」を開催しました

総合社会科学研究所知的財産部門では11月11日に高輪キャンパスで、「第1回ファッションローシンポジウム―RUNWAY to the LAW―」を開催しました。本研究所は、社会科学系研究の活性化を図り、新たな社会科学の研究拠点として設立された学術研究機関で、知的財産部門ではファッションやコンテンツにかかわる法律の研究などを通して、知的財産に関する新たな研究分野を切り開いています。今回のシンポジウムは、日本知財学会との共催で初めて実施したもので、国内外のブランドの法務担当者や弁護士、教員などが登壇し、日米のファッション業界の現状や、衣服のデザインはどの知的財産権で保護するのか、インターネットやSNSの台頭による課題は何かを話し合うことが目的です。当日はファッション業界や法律業界関係者、大学の教員ら241名が参加しました。

はじめに本学の山田清志学長があいさつし、続いて第1部実務の部「ファッション実務最前線」として、ルイ・ヴィトン ジャパン株式会社法務部長のジェームス・モイニハン氏、コーチ・ジャパン合同会社法務部長の影島瑞穂氏、株式会社ゴールドウイン総合企画本部法務室の木下正一氏、クールジャパン機構代表取締役社長の太田伸之氏が講演しました。それぞれ会社の概要や業務内容を紹介したほか、ジェームス・モイニハン法務部長は、「日本で発見される模倣品はすべて海外で作られており、その90%が中国産です。製造だけでなく、販売、流通などあらゆる視点から対応していかなければいけない」と説明しました。

第2部法律の部「日米英のファッション保護の現状」では、本研究所の角田政芳所長、大阪工業大学大学院知的財産研究科特任教授の山田繁和氏、TMI総合法律事務所所属弁護士の関真也氏、創造科学技術研究機構助教の内田剛氏が登壇しました。角田所長は、「日本におけるファッションデザイン・ブランド等の保護」をテーマに講演。「洋服のデザインや刺繍のデザインなどに著作権はないという判例が多い」といった例を挙げ、「本学では2019年度に大学院修士・博士課程『ファッションビジネス&ロー・コース』を作りたいと考えています。また本シンポジウムは今後、ファッションローと国際比較シンポ、ファッションローと東京オリンピックなど、”ファッションローと〇〇”というテーマで第17回まで実施します。ぜひ参加してください」と呼びかけました。

最後に登壇者全員がステージに並び、第3部パネルディスカッション「ファッションローはファッション業界の発展に貢献できるか」を実施。太田氏は”にせものとパクリの問題”に触れ、「昔はパリコレの写真には解禁日がありましたが、今は1分後には全世界に配信されるネットの時代です。発表する側の保護も考えていかなければいけない」と語り、その後の質疑応答でも活発な意見交換が行われました。来場者からは、「さまざまな分野の専門家の意見が聞けて、とても勉強になりました。もっと現場で起きた問題や課題などを深く聞いてみたい」といった声が聞かれました。

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