寺尾晶教授の研究でローヤルゼリーが褐色脂肪細胞を活性化し代謝を調節する可能性が示されました

生物学部の寺尾晶教授が、2014年から山田養蜂場みつばち健康科学研究所の助成対象として取り組んできた研究でこのほど、蜜蜂が作るローヤルゼリーが褐色脂肪細胞を活性化させ、代謝を促進する可能性を確認。2月20日に同研究所から発表されました。

寺尾教授はローヤルゼリーが褐色脂肪細胞を活性化させ代謝的エネルギー産生を促すという可能性を明らかにするべく、食餌性肥満モデルマウスを用いて実証実験を試みました。高脂肪食のみを17週間摂取したマウスと、5%のローヤルゼリーが含まれる高脂肪食を同じ期間摂取したマウスとの比較検証では、ローヤルゼリー摂取群で有意な体脂肪量の減少を確認。また、肥満に伴う脂肪肝やインスリン抵抗性指標も有意に改善したことから、メタボリックシンドロームのリスクを低減すると考えられました。 この分子メカニズムを明らかにするため、褐色脂肪細胞活性化の指標として知られる、脱共役蛋白質UCP1の発現解析を行いました。その結果、ローヤルゼリー摂取群でUCP1が特異的に増加していることが示されたため、ローヤルゼリーによるメタボリックシンドローム改善メカニズムの一端として、褐色脂肪細胞の活性化による代謝的エネルギー産生の亢進が考えられました。 寺尾教授は、「今回の研究でローヤルゼリーが褐色脂肪細胞を活性化することが分かりました。将来的にはローヤルゼリー中の有効成分をつきとめ、その成分をサプリメントとして商品化できればと考えています。体調が悪くなってから病院で薬を処方してもらうのではなく、日ごろから良い健康状態を保つことで健康寿命を延伸できれば、国が抱える医療費圧迫の問題も少なからず改善されるでしょう。今後は睡眠と肥満を結びつけた研究にも取り組み、国民一人ひとりのQOL(Quality Of Life)の向上に役立つ成果につなげたい」と先を見据えています。

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