文明研究所では11月16日から18日まで湘南キャンパスで、本学所蔵のアンデスコレクションに関する研究会を開催しました。このコレクションは、南米で栄えた「アンデス文明」のうち紀元前16世紀から紀元後16世紀までの歴史を物語る土器や布製品など約2000点で構成されており、その質と量は日本の大学や博物館が所蔵する資料群としては最大級と高く評価されています。本学では2016年から文明研究所内に研究プロジェクト「東海大学所蔵文化財活用のための基盤整備」を立ち上げ、公開・活用に向けた環境を整備。マイクロ・ナノ研究開発センターと共同で光学機器を使った資料の分析・研究を進め、昨年度からは東京大学総合研究博物館の鶴見英成助教や岡山県立大学の真世土マウ准教授らとの共同研究をスタートさせています。
今回の研究会では、鶴見助教と真世土准教授が収蔵庫を訪れ、研究プロジェクトでアンデス文明を担当する吉田晃章准教授(文学部文明学科)とともに水や空気を送ると音が鳴る「笛吹土器」や鐙型土器を網羅的に調査。18日には、マイクロ・ナノ研究開発センターの喜多理王所長らも交えて、今後の研究の進め方などについて意見を交わした。
鶴見助教は、「所蔵資料の中には、これまで特定の遺跡で発掘された土器と類似しているものもあることがわかり、理化学的な視点に立った研究ができる可能性も感じました。資料実物を直接手に取りながら比較・分析できるのは東海大学のコレクションがあるからこそ。今後はX線CTで撮影したデータを組み合わせて分析することで、新しい発見もできると期待しています」と語っています。また、真世土准教授は、「今回資料を実際に見たことで、新しい研究課題がたくさん見つかりました。各文化の共通点や私が専門とする土器制作方法の視点と歴史学・考古学を組み合わせることで、どのような研究成果が出せるか、今から楽しみです」と話しました。
吉田准教授は、「今回の研究会を通して、共同研究の発展に向けた一歩を踏み出すことができました。今後も先生方と連携を深め、本学だからこそできる研究の成果を発信していきたい」と話しています。