海洋科学博物館にアカボウクジラの全身骨格標本が展示されています

東海大学海洋科学博物館では12月5日から、アカボウクジラの全身骨格標本を展示しています。昨年9月に静岡市古宿の海岸に座礁した体長565㎝のメスの個体を、海洋学部海洋生物学科の大泉宏教授らが生態調査を目的に現地で解剖。その後、骨格標本の制作のため博物館で引き取り、骨の周りに残った肉を自然分解させるため敷地内に埋めました。学芸員が定期的に試掘し状態を確認したところ自然分解が順調に進んでいることが確認できたため、今年8月に学芸員や海洋学部の教員、学生らが手作業で掘り起こしました。

掘り起こした骨は博物館で煮沸・漂白などの工程を経て、骨に残っていた微量の肉や脂、虫などを除去。頭から尾までの骨を順番に並べ、作業に使用した道具などと合わせて展示しています。今回の作業に携わった学芸員の太田勇太さん(海洋学部水産学科卒)は、「アカボウクジラの全身骨格標本は全国の博物館でもあまり例がない貴重なもの。私自身、大型哺乳類の標本制作は初めての経験でしたし、学生にとっても貴重な学びの機会になったと思います」とコメント。また、「今回標本にした個体からは、通常アカボウクジラには無いはずの頚肋骨があったり、左右の脊椎骨の形が異なっていたりと、外見からはわからない発見がありました。ほかにも、進化の過程で退化した後ろ足の名残など、骨格標本からわかる情報もたくさんあります。知れば知るほど興味深い分野だと思うので、多くの人に標本を見てもらいたい」と語っています。