公開ミニシンポジウム「大学における社会的実践力の育成~地域連携の活用を含めた事例紹介~」を開催しました

スチューデントアチーブメントセンター(SAC)では7月3日にオンラインで、「日本環境学会第47回研究発表会 公開ミニシンポジウム『大学における社会的実践力の育成~地域連携の活用を含めた事例紹介~』」(主催:日本環境学会、共催:SAC、湘南里川づくりみんなの会、後援:NPO法人東海大学地域環境ネットワーク)を開催しました。気候変動や新型コロナウイルス感染症の拡大をはじめとする危機的な課題が次々と立ちはだかる今、本学における取り組みを紹介したうえで地域と連携しながら持続可能な社会の構築をけん引する大学教育のあり方について議論を深めることを目的としています。卒業生や地域住民、行政関係者、大学教員ら52名が参加しました。

SACの日比慶久講師が司会進行を務め、発表1では、SACの二ノ宮リムさち准教授と池谷美衣子講師が「全学的正課教育と課外自主活動を通じた学生の社会的実践力育成」をテーマに講演。二ノ宮リム准教授は、本学が「『自ら考える力・集い力・挑み力・成し遂げ力』を身につけた社会に必要とされる人材を育成する」という教育方針を掲げ、実践を重視した教育活動を取り入れ、18年度からパブリックアチーブメント(PA)型教育を全学必修化したことなどを解説。「本学のPA型教育では4つの初年度必修科目で基礎的な理解と関心を深め、実践型の選択科目で課題に取り組んだり、学生が自ら企画し大学が支援するチャレンジプロジェクトの活動でも学んだりすることで、理論と実践の輪を往還しながら4つの力を育んでいます」と説明しました。続いて池谷講師が初年度必修科目の一つである「シティズンシップ」を例に、学部学科の異なる学生によるグループワークやオンラインでの意見交換などを取り入れた授業運営の様子を紹介したほか、チャレンジプロジェクトの活動も紹介し、「活動している学生たちは、大学内では出会えないさまざまな年代や属性の人と話ができること、地域の方とともに活動する魅力を実感しているようです」とコメント。最後に二ノ宮リム准教授は、「コロナの影響で課外活動や地域連携が非常に難しくなっており、どのように再活性化に向けてサポートできるかが大きな課題。学生自治の活性化や、全学連携体制の発展も必要です」とまとめました。

発表2では、「湘南里川づくりみんなの会」の会長を務める教養学部人間環境学科自然環境課程の藤野裕弘教授が「地域連携の持続可能なしくみづくり~組織化事例紹介を中心に~」と題して講演し、映像を交えながら同会の活動を紹介。「2008年の発足以来、『子どもたちが安心して学び遊べる川づくり』を理念に掲げて活動しています。具体的には年に1回のフォーラムの開催のほか、金目川水系ウオーキングマップの作成、会報誌『湘南里川だより』の発行などを手がけています」と語り、同会に参加している自治体や市民団体、個人会員、企業の関係者らがそれぞれの視点から活動内容や課題などを報告しました

講演後には、「プロジェクトとサークル活動の住み分けはどのようにしているのでしょうか」との質問に二ノ宮リム准教授が、「プロジェクトは教育の場として位置付けられることから、何を学び、どういった力を身につけていきたいのかを学生が自ら文章化し、振り返りを通して学びを確認します」と答えたほか、「プロジェクトの活動で得た経験は、学生個人の未来にどのように生きているのか」「環境活動に取り組む中で、自治体や行政などと利害の衝突があった場合、どのように解決していけばいいのか」などの質問が上がり、聴講者参加型の活発な質疑応答が行われました。