東海大学教育セミナー総合シンポジウム「これからの保育・教育を考える」を開催しました

東海大学では1月8日に湘南キャンパスで、教育セミナー総合シンポジウム「これからの保育・教育を考える」を開催しました。2022年度に新設する児童教育学部の理念や教育・研究活動を周知するとともに、企業や行政、大学など研究機関の識者らと児童教育学のあり方を考える機会とすることを目的としています。昨年7月、9月、11月と定期開催してきたセミナーの最終回となる今回は、各回の基調講演者を招き総合シンポジウムを企画。当日はオンラインで配信しました。

初めに山田清志学長があいさつし、児童教育学部設置準備室の山本康治教授が企画概要を説明しました。続いて、過去3回のセミナーで講演した畿央大学教育学部准教授の中村恵氏、相模原市子ども・子育て議会会長の片山知子氏、レゴランド・ジャパン合同会社の中谷友紀氏の3名が登壇し、それぞれセミナーでの講演概要を紹介。内田晴久副学長(企画調整担当)、児童教育学部設置準備室の桑原公美子教授も加わり、山本教授の進行でパネルディスカッションを行いました。「規範意識」をテーマとした討論では中村氏が、「子どもたちは遊びや対話の中で相手が喜ぶこと、嫌がることを感じ取り、その中で仲良くなり自然と規範意識を身につけていきます。保育者は、子どもたちが自ら成長する環境を整えることが大事であり、そういった人材を育成していかなければなりません」と提言。「子どもへの評価(褒め方)」のテーマでは中谷氏が、「レゴブロックは何億通りもの形をつくることができ、商品開発のスタッフからは“子どもたちの柔軟な発想に気づかされることが多い”という話をよく聞きます。できないことばかりに目を向けず、子どものアウトプットをいかに評価してあげられるかは重要だと思います」と述べました。桑原教授は、「保育・教育はレゴブロックのように『組み立て』と『崩し』を繰り返すものであり、時代に合わせて変化を受け入れていく必要があります。また、保育者の視点は一人ひとり異なり、子どもへの評価もそれぞれです。保育者を養成する際には対話を通じ、他者の視点を共有するよう呼びかけています」と語りました。

聴講者からも多くの質問が寄せられ、「コロナ禍の不確定な世の中で、子どもたちは何を身につけたと思いますか?」との問いに片山氏は、「直接的な体験の幅が狭くなってしまった一方で、限られた環境では何ができるのか考え行動する力が伸びていると感じます。3密を避け、食事中の会話も制限されるなど失ってしまった経験もありますが、ICTなどさまざまなものを活用して補えていると思います」と語りました。最後に内田副学長が、「予想外なことも多いこの時代で活躍できる人材をいかに育むか、教育はどうあるべきか、今の日本にとって大きな課題です。本セミナーで出た多様な意見を、現場の先生方に役立てもらえたらうれしい」とあいさつ。また山本教授が、「児童教育学部では、『地域で学び、地域を学び、地域と学ぶ』をスローガンに、地域と連携した教育活動を展開していきます。来年度も定期的にセミナーを開催し、皆さまとこれからの保育・教育について意見を交わしていきたい」と話しました。