松前記念館で「水・呼吸・いのちのかたち 手の世界制作-2」を開催しています

湘南キャンパスの松前記念館(歴史と未来の博物館)では3月1日から31日まで、「水・呼吸・いのちのかたち 手の世界制作-2」を開催しています。神奈川県と東海大学(教職資格センター)の協働事業「ともいきアートサポート事業(創作×地域展示)」の一環で、県の掲げる「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の実現に向けて、障がいの程度や状態にかかわらず、誰もが文化芸術を楽しみ、芸術を通じて人と人をつなげることを目指した取り組みとして企画したものです。2年目となる今回は、神奈川県立平塚盲学校に加え、新たに伊勢原養護学校伊志田分教室と連携した取り組みを展開。本展では昨年実施したワークショップで生徒たちが制作した芸術作品のほか、本学所蔵のアンデス・コレクションの一部や(公財)北区文化振興財団・つくばアートメダルプロジェクトとの連携事業による造形作品、現代芸術家の間島秀徳氏の日本画作品を展示しています。

3日には、平塚盲学校の児童・生徒たちが記念館を訪問。当日はワークショップ講師を務めた映像作家の亀井岳氏(アーティスト/大阪府立堺支援学校講師)、全盲の文化人類学者として知られる広瀬浩二郎氏(国立民族学博物館准教授)、本学からは文明研究所の山本和重所長も参加しました。見学会では、はじめに広瀬氏があいさつし、「歴史のある文化財や有名人な日本画家の作品と皆さんの作品が展示されているのは、非常に貴重な機会です。作品を鑑賞するとともにこの空間も楽しんでください」とコメント。続いて、山本所長が、「制作に取り組む前に笛吹きボトルに触れましたが、完成した後ではまた感じ方が変わってくると思います。ぜひじっくり触ってみてください」と語りました。その後、生徒たちは本センターの篠原聰准教授や亀井氏らによるサポートのもとで、自分の作品やアンデス・コレクションの「笛吹きボトル」、日本画などを触って鑑賞。生徒たちからは、「作る前と後でアンデスの笛吹きボトルを触ってみたら、本物は質感が滑らかだとあらためて感じた」「自分たちの作品だけじゃなくて、他のアーティストの作品も触れて楽しかった」といった声が聞かれました。最後に、篠原准教授があいさつし、「今年度の活動はさまざまな分野の先生方が携わり、『教える側と教わる側』という枠組みではない、双方に多くの学びがあったと感じています。来年度は、ワックス(蝋)を使って製作した型を元に、ブロンズを用いたアートメダル制作を考えています」と来年度予定している事業計画について説明しました。

同校小学部長の沖津有吾さんは、「昨年度に続いて、同事業でワークショップと展示会を実施していただきました。今年度は中学部の生徒も加わり、普段の美術や図工とは違った学びをたくさん得られたのではないかと思います。こうした交流の機会は、児童・生徒たちにとって重要な経験になるので、来年度もたのしみにしています」と話しています。また、ワークショップ講師を務めた亀井氏は、「多様性がうたわれ、ユニバーサルという言葉の響きが取り沙汰されがちだが、それらを実践することは簡単ではない。ともいきアートサポート事業は、障害者理解、障害者の社会参画、障害者とアートの関わりにフォーカスし支援するものであるが、それらが社会に根付くということは、全ての人が学び合う環境を作ることかもしれない」と述べました。

【会場/アクセス】
湘南キャンパス松前記念館(歴史と未来の博物館)
住所:平塚市北金目4丁目1番1号

小田急線「東海大学前」駅下車徒歩約15分
または『秦野駅行き』『下大槻団地行き』バス(約5分)で 「東海大学北門」下車すぐ。またはJR東海道線「平塚」駅下車『東海大学行き』または『秦野駅行き』バス(約30分)で「東海大学正門前」下車徒歩約5分
https://www.u-tokai.ac.jp/info/traffic_map/index.html#shonan

【会期】
2022年3月1日(火)~3月31日(木)まで
※4月30日(土)まで会期延長する場合があります(詳細につきましては松前記念館にお問い合わせください)。

【休館日】
日曜日、祝日

【時 間】
10:00~17:00 ※最終入館時間16:30

【入場料】
無料

【問い合わせ先】
松前記念館(東海大学 歴史と未来の博物館)
TEL:0463-58-1211(代表)
info.kinenkan@tsc.u-tokai.ac.jp

【主 催】
松前記念館(東海大学 歴史と未来の博物館)

「水、呼吸、いのちのかたち」展 
平塚盲学校の生徒に展覧会の楽しみ方について話す、広瀬浩二郎氏(国立民族学博物館准教授)
「水、呼吸、いのちのかたち」展
笛吹きボトルに触れる意味ついて話す、山本和重氏(東海大学文明研究所所長)
「水、呼吸、いのちのかたち」展 
平塚盲学校の生徒が制作した笛吹きボトル。実際に音を鳴らして鑑賞することができる。
「水、呼吸、いのちのかたち」展
伊勢原養護学校伊志田分教室の生徒の共同制作「思わぬ世界」の入口をつくる
「水、呼吸、いのちのかたち」展 会場風景
平塚盲学校の生徒に、ワークショップと展覧会について話す、亀井岳氏(アーティスト)
「水、呼吸、いのちのかたち」展 
特別に古代アンデスの笛吹きボトルに触れる平塚盲学校の生徒