オンラインで「シロウオの観察会」を開催しました

海洋学部では3月12日にオンラインで、静岡市と東海大学の連携事業「シロウオの観察会」を実施しました。静岡市と本学が包括連携協定に基づいて毎年実施しているもので、地元の豊かな自然環境への理解を深め、環境保全の意識・関心を高めることを目的としています。今回は、新型コロナウイルス感染症拡大よる静岡県のまん延防止等重点措置期間の延長を受けて、ビデオ会議システム「Zoom」を用いたオンライン開催に変更して実施。当日は、小学校3年生から中学生とその保護者らが参加しました。

当日は、秋山信彦教授(水産学科)が、「透明な生きものについて」と題して講義。「魚が稚魚になる前の段階を『仔魚』といいます。海を漂い外敵から身を守る方法がないので、体が透明です。大きくなると大半が透明ではなくなりますが、シロウオは体が透明のまま生殖腺が成熟します。このように幼生の状態で成熟することを『ネオテニー(幼形成熟)』と言います。海には皆さんが想像しているよりもたくさんの透明な生き物がいます」と説明しました。続いて、高見宗広講師(水産学科)が透明な魚の代表格であるシラスについて説明しました。「シラスは生きているときには透明ですが、死ぬと皆さんが知っているように白くなります。シラスは特定の魚ではなく、魚の子どもを指します。なお一般に食品として販売されているものの大半はカタクチイワシの子どもです」と話しました。そして、参加者の各家庭に事前に配布された、しらすを干して作られたチリメンジャコに混じっているさまざまな生物「チリメンモンスター」を探すと、イワシやエソ、ベラなどの子どもが見つかりました。子どもたちからは、積極的に講師に「この魚はなんですか?」と質問する場面が見られました。

最後に秋山教授が、絶滅危惧種に指定されている「シロウオ」の特徴や生息地、営巣などについて講義。「シロウオは体が透明なハゼの仲間です。ハゼの多くは左右の腹びれが合わさり1つの吸盤になるという特徴をもちますが、シロウオにはその特徴がないため、産卵時に川を上る際に堰堤を登ることができません。また、『河口から近くて塩分がなく、流れが緩やかで、浅く、泥が溜まらず、水がきれい』など営巣環境の条件が厳しく、産卵場所が限られてしまいます。山も海もきれいな静岡市は、政令指定都市でありながらシロウオが産卵できる環境が残る数少ない地域となっています」と説明しました。