医学部付属病院がシーメンスヘルスケア株式会社のフォトンカウンティング検出器搭載CT「NAEOTOM Alpha」国内初号機の導入を決定しました

医学部付属病院ではこのほど、シーメンスヘルスケア株式会社のフォトンカウンティング検出器搭載CT「NAEOTOM Alpha(ネオトム アルファ)」国内初号機の導入を決定しました。3月29日に東京都内で開かれた同社主催の製品説明会には、代表取締役社長・森秀顕氏ら同社スタッフとともに、本学から森正樹医学部長(外科学系消化器外科学)、渡辺雅彦病院長(外科学系整形外科学)らが出席し、新CT導入の意義や期待を語りました。 

CT(Computed Tomography)は、体の周囲からX線を照射し、その吸収率の違いをコンピューターで処理して体の断面を画像にする医療機器です。現在、国内では1万3000機以上が稼働していますが、臨床現場から、より少ないX線量で高精度の画像が得られるCTの開発が求められていました。NAEOTOM Alphaは、光子(フォトン)を個別に数える「フォトンカウンティング」技術により、撮影部位によってはX線量を約100分の1に抑えながら、1秒以内に高精細画像を撮影できる次世代CTです。ドイツのシーメンスヘルシニアーズ株式会社と、日本の半導体メーカー・株式会社アクロラド(沖縄県)が共同開発し、1月26日にシーメンスヘルスケアが厚生労働省の医療機器製造販売認証を取得。医学部付属病院には6月に設置される予定です。 

製品説明会の第1部では、シーメンスヘルスケアの森氏が、「NAEOTOM Alphaに用いられているのは、25年、あるいは半世紀に一度の革新的技術と考えており、その中核を担ったのは日本の企業です。国内で開発されたイノベーションを世界に届けるお手伝いができることを誇りに思います。今日は、東海大学の先生方から新しいCTに対する期待を聞かせていただくのを楽しみにしています」とあいさつ。続いて、同社CT事業部プロダクトマネージャーの田中秀和氏が日本におけるCT市場やNAEOTOM Alphaの特徴について説明し、アクロラド代表取締役社長の大野良一氏が、同機の中核技術であるカドミウムテルライド(CdTe)半導体素子開発の歴史を紹介しました。 

第2部では、森医学部長と渡辺病院長、橋本順教授(専門診療学系画像診断学)、医学部付属病院診療技術部の川又郁夫部長が登壇。シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティックイメージング事業本部長の桜井悟郎氏のあいさつと登壇者紹介に続き、森医学部長が医学部と付属病院の設置理念や臨床・研究・教育分野における“先駆け”としての取り組みを紹介し、「NAEOTOM Alpha導入の成果を世界に発信して新たな治療改革を起せるよう努力したい」と語りました。 

その後、同事業本部CT事業部長の早川護氏の司会により、「臨床現場における『NAEOTOM Alpha』への期待」と題したトークセッションを実施。森医学部長は、「新CTは数ミリ単位のがんも発見できる可能性があり、早期発見・早期治療によるがんの根治も期待できるのではないかと考えています。診断・治療はもちろん教育や研究にも役立て、その成果を世の中に還元したい」とコメント。渡辺病院長は、「少ない被ばく線量で高精度の画像が得られることは病気の早期診断や医療安全につながり、患者さんと医療従事者の双方にとって福音です。整形外科医としては、骨折の治療法の早期決定に役立つと期待しています。素晴らしいイノベーションをともに経験できることに感謝しています」と述べました。また、橋本教授は、「構造が複雑な頭頚部をはじめ、心臓の冠動脈や脚の抹消動脈などを正解に描出できるほか、石灰化した部分を除いた画像が見られるなど選択的なイメージングができるのも画期的。画像診断医としてNAEOTOM Alphaの特長を最大限に引き出すためのプロトコルを構築するとともに、しっかりとデータを集積して研究成果を発表したい」と意欲を見せ、川又部長は「国内初号機の導入については大きな責任も感じています。診療放射線技師として医師の要求に応えられるデータを集め、患者さんに有用な診断・治療につなげていきます」と語りました。