情報通信学研究科の大学院生が国際学会でBest Student Paper Awardを受賞!

2023年7月20日~24日にアメリカのサンフランシスコで開催された14th International Conference on Applied Human Factors and Ergonomics (AHFE 2023、国際応用人間工学会)で、情報通信学研究科 修士課程1年 中島仁さんが大竹恒平講師と取り組んだ研究について発表を行い、Best Student Paper Awardを受賞しました。

AHFEは人間工学とエルゴノミクスに関連する国際会議であり、各国の優秀な研究発表を表彰する制度を設けています。

受賞した研究は、百貨店との共同研究において収集した動線データから、消費者の回遊行動を評価することで、買回りを促す店舗レイアウトの提案を実現したものです。新型コロナウイルスの流行やEC市場の台頭により、実店舗の役割は最終購入地点からブランド認知や商品体験の場へとシフトしています。そのため、百貨店やショッピングセンターなどの店舗が集約された業態においては、消費者の買物時における快適性を向上させ、館全体の体験価値を向上させることが求められています。本研究では、視線観測デバイスによる録画データから、店舗間移動の動線を抽出することで百貨店内の動線データを収集しています。また先行研究から、消費者の購買目的や対象店舗との関係性によって回遊行動は影響されるという知見に基づき、購買目的、お気に入りの店舗の有無で回遊行動の評価・比較を行いました。購買目的やお気に入りの店舗がある消費者は、集中的な訪店が多いのに対し、購買目的やお気に入りの店舗が無い消費者は広範囲な回遊傾向にあることを示しています。さらに、来店頻度が高く、店舗の中継地点として重要な役割を担うキーテナントを特定し、それを中心とした店舗への立ち寄りを促すために有効な店舗配置提案を行いました。

中島さんは受賞後に、「初めての研究活動では様々な課題や困難がありましたが、共同研究を通じ、仮説検証から施策提案に至るまでの一連のプロセスを体感したことで実践的な学びを得ることができました。また、本研究は、実験にご協力頂いた方々のご助力無しには実現できませんでした。本研究を進めるにあたり、厚くご指導を頂きました大竹講師をはじめ、実験にご協力頂いた皆様方にこの場を借りて深く御礼申し上げます。」と語りました。

共同研究者である大竹講師は、「中島君は、学部時代から様々な研究に積極的にチャレンジし、大学院でも向上心をもって研究に取り組んでいます。今回の受賞は中島君が努力し、経験を重ねて成長した結果であり、指導教員としてとても嬉しく思います。」と述べています。