札幌キャンパスの教員が「魅力いっぱい冬の北海道 流氷 海の不思議を学ぼう」に協力しています

札幌キャンパスの生物学部海洋生物科学科と国際文化学部地域創造学科の教員が、NTTドコモが運営し子ども向けコンテンツなどを提供する「comotto」とHBC北海道放送による環境学習プログラム「魅力いっぱい冬の北海道 流氷 海の不思議を学ぼう」に協力しています(北海道地域研究センター協力)。生物学部の南秀樹学部長(海洋生物科学科教授)がプログラム全体の監修を担当。1月28日に実施されたオンライン学習の講師を同学科の野坂裕一講師が務め、2月10、11日に北海道網走市で開催された「リアル流氷体験ツアー」の「流氷の分析と顕微鏡観察」では、南学部長、野坂講師、同学科の大橋正臣教授、国際文化学部地域創造学科の植田俊講師が参加した子どもたちの指導にあたりました。

このプログラムは、冬のオホーツク海を覆う流氷を中心に、持続可能な海の未来を考える機会を提供しようと企画されたものです。まず全国の子どもたちに流氷と海の関わりについて興味持ってもらうためcomottoのサイトに動画を公開※。そのうち「漁業をささえる流氷パワー」の動画では、野坂講師によるサロマ湖調査の様子を紹介すると共に、植物プランクトンが氷に取り込まれた「アイスアルジー」、それを食べる動物プランクトンについて解説したほか、生物学部で作成した流氷に関する資料映像を提供しました。

1月28日のオンライン学習では、HBCの堀内美里アナウンサー、お笑い芸人のサンシャイン池崎さんの司会進行のもと、野坂講師が解説役を務めました。全国各地の小学生らが視聴する中、野坂講師は地球温暖化の流氷への影響をはじめ流氷ができる仕組みやシベリア沖でできた流氷がオホーツク海を南下し稚内から知床半島の沿岸に至るまでの道のり、アイスアルジーの役割などを説明。参加者から寄せられた「なぜ暖冬なのに今年は例年より早く流氷が北海道沿岸に接岸したの?」といった疑問にも答え、「地球温暖化によって年々流氷の量が減少していますが、生態系の維持には不可欠。皆さんもできることから温暖化対策に取り組んでください」と呼びかけました。

オンライン学習参加者の中から希望者約800名を対象に抽選で選ばれた親子10組が参加した「リアル流氷体験ツアー」では、堀内アナウンサーと地元北海道の人気コンビ・オクラホマの河野 真也さんが案内役を務める中、10日に南教授が参加者とともに流氷観光砕氷船「おーろら」に乗船。同日のプログラムの一つ「ホタテ釣り競争と解剖」では、北海道東海大学卒業生で本学部非常勤講師も務める株式会社沿海調査エンジニアリング代表取締役社長の大塚英治さんが指導役を担いました。

11日に行われた「流氷の分析と顕微鏡観察」では、初めに野坂講師が流氷とアイスアルジー、食物連鎖の関係を説明。続いて大橋教授の研究室で作成した海水の2層化と躍層(境界)の動きを目視できる装置を使って、流氷が南下した際に海中で起こっている現象について詳しく解説し、「ホーツク海で表面の海水が冷やされることで流氷が生まれます。流氷が溶解すると密度躍層が形成され、この躍層部分にとどまったアイスアルジーは光合成を行い動物プランクトンや魚介類のエサとなり、オホーツク海が豊かな海になっています」と語りました。

さらに、札幌キャンパスから運んだ顕微鏡を使い、網走沿岸で採取してきたアイスアルジーを観察。南学部長、大橋教授、野坂講師、植田講師がサポートして珪藻類やカイアシ類などの動物プランクトンを、顕微鏡を通して確認しました。子どもたちからは、「新しいアイスアルジーは見つけられますか?」などの質問が寄せられ、野坂講師らが一つひとつ丁寧に回答しました。南学部長は、「生物学部と北海道地域研究センターでは、より多くの子どもたちに海洋に対する興味を持ってもらうため、知識を伝える場としてこれまでも日本財団などが展開する海と日本プロジェクト・ガッチャンコ北海道実行委員会による教育プログラムに協力しており、その経験から今回のプロジェクトに参加しました。今回のツアーに参加した子どもたちの多くは北海道外に住んでいて、流氷を見たことがありませんでしたが、このような機会をきっかけに親子で海や環境、地球温暖化などについて話し合ってもらえれば」と話しています。

なお、流氷ツアーの様子は動画コンテンツとしてまとめられ、comottoのWebサイトで3月上旬に公開される予定となっています。

※「海の不思議を学ぼう!」の動画は下記からご覧いただけます
https://comotto.docomo.ne.jp/shizen/ryuhyo-hokkaido/