西伊豆町の伝統食「潮鰹」を使って開発したアイスの販売が始まりました

静岡キャンパスで活動するスチューデントアチーブメントセンター「商品開発プロジェクト」がこのほど、静岡県西伊豆町田子地区で製造されている伝統食「潮鰹(しおかつお)」を使った新商品「クールに潮カツオくん」(キャラメルアイス)を開発。7月24日から販売が開始されました。

「潮鰹」とは鰹を長期保存するために、高濃度の塩に丸ごと漬け込み乾燥して製造される塩蔵品です。「正月魚(しょうがつうお)」とも呼ばれ、縁起物として神棚へ供えられてきました。かつては日本全国で製造されており、江戸時代には庶民の間でよく食べられるほど親しまれていました。しかし、食生活や保存方法、健康志向の変化によりその姿を消してしまいました。現在では西伊豆町でしか製造されていません。古来より縁起の良い食として、航海の安全と豊漁豊作を祈願して、ワラで飾りをつけた「潮鰹」をつるし、神棚にお供えをする風習が残っているのはこの地だけとなります。
 
本プロジェクトでは、食文化の継承とともに、新たな観光資源を活用して西伊豆の地域振興につなげようと、潮鰹を用いた商品の企画・開発に着手。これまで、おにぎりをベースとした「潮鰹むすび」や、アメをベースとした「塩カツオ DE 塩分チャージ」の開発に取り組んできました。今回は、熱中症対策の塩分補給がしやすいようにアイスクリームに着目。プロジェクト内のカツオ班潮鰹担当のメンバーたちは今年5月ごろから、子どもたちに喜んでもらえるキャラメル味をベースに選び、潮鰹の粉末を加えることで、甘みとともに塩味も感じられるように試作を重ねてきました。また、パッケージも学生たちでデザインし、荒縄に縛られたカツオを基調にかわいらしく、親しんでもらえるものに仕上げました。

商品は西伊豆町内で潮鰹の製造に取り組み、アイスの原材料の提供を受けたカネサ鰹節商店と、同町が運営する海産物や農産物の直売所である「はんばた市場」の2カ所で、1個270円で販売しています。24日にはプロジェクトメンバーがはんばた市場の店頭に立ち、買い物客や観光客に向けて商品をアピールしました。担当リーダーの高木海さん(海洋学部水産学科3年次生)は、「本格的に暑くなる夏に向けて急ピッチで開発に取り組んできました。試作ではバニラやチョコレートなどさまざまな味を試しましたが、もっとも塩鰹の風味に合い、商品のターゲットである子どもたちに喜んでもらえるキャラメル味に決まりました。カツオの風味や塩味も残すことで、伝統食である潮鰹についても多くの人たちに知ってもらえるのではないかと思います」と語ります。

プロジェクトアドバイザーの清水宗茂准教授(海洋学部水産学科)は、「アメの開発時から、お買い上げいただいた方たちから“アイスクリームでも食べてみたい”という声が聞かれたこともあり、学生たちと開発を進めてきました。メーカーや西伊豆町などの協力を得て販売まで至ることができ、関係者の皆さんに感謝しています。今後はさらに販路を静岡県内外に拡大し、大きな目標である伝統食の継承につなげていきたい」と話していました。