先進生命科学研究所がペルージャ大学の研究者らを招き「国際ミニシンポジウム」を開催しました

先進生命科学研究所では6月3日に湘南キャンパスで、国際ミニシンポジウム「化学・薬学研究の最前線」(共催:大学院総合理工学研究科、協賛:マイクロ・ナノ研究開発センター)を開催しました。イタリア・ペルージャ大学をはじめ、大阪大学や埼玉大学、マイクロ・ナノ研究開発センターの研究者らが最先端の成果を紹介。教職員や大学院生、理学部化学科の学生ら多数が参加しました。

本研究所の岩岡道夫所長(理学部化学科教授)らは約10年にわたり、ペルージャ大との共同研究や学生の交流を進めています。本研究所を所管するサイエンス・エンジニアリングカレッジと同大学はこうした取り組みを発展させるため、欧州連合(EU)が展開する大学教員や学生の相互交流促進プログラム「Erasmus+」(エラスムス・プラス)の枠組みの中で、2024年度に学術交流協定を締結。共同研究の拡充や大学院生の相互派遣の促進を図っています。本シンポジウムもこのプログラムを活用して実施したものです。

当日は、初めに岩岡所長が開催の趣旨を説明。「化学や薬学研究の世界的な潮流や課題に関する理解を深める機会です。活発な議論を期待しています」とあいさつしました。前半は、ペルージャ大薬学部教授のクラウディオ・サンティ氏とルカ・サンチネート氏が、抗がん剤や抗炎症剤への応用が示唆されているセレン化合物などをテーマに講演。続くパネルディスカッションでは、サンティ教授がペルージャ大の概要や「Erasmus+」の仕組みを紹介し、「教育や研究のさらなる充実を目指し、東海大学との連携を深めたい」と語りました。後半は国内の5名の研究者が最新の成果を発表し、活発な意見交換を展開。聴講した大学院総合理工学研究科の大学院生は、「自分もセレン化合物を研究していますが、サンティ先生の講演から、これまで考えもしなかった新たな視点に気づきました。さっそく実験に取り入れたい」と話していました。

岩岡所長は、「ペルージャ大学との教員・大学院生の相互訪問をさらに活発にするため、『Erasmus+』の枠組みとは別に、大学間における学術交流協定を締結する計画です。今後も国内外の研究者らとの連携を促進し、化学・薬学分野の発展や研究人材の育成につなげたい」と語っています。

※当日のプログラムは以下のとおりです。
【開会のあいさつ】
岩岡道夫所長(東海大学先進生命科学研究所/理学部化学科教授)
【講演】※大学院総合理工学研究科共同ゼミナール対象講演
◇クラウディオ・サンティ教授(ペルージャ大学薬学部)
「医薬品化学におけるセレンの役割の再考:Se-S結合の役割」
◇ルカ・サンチネート教授(ペルージャ大学薬学部)
「実験計画法(DoE)反応条件の効率的な最適化」
【パネルディスカッション】
◇クラウディオ・サンティ教授
  「東海大学とペルージャ大学の国際連携」
【講演】
◇樺山一哉教授(大阪大学大学院理学研究科/マイクロ・ナノ研究開発センター)
「抗体の細胞内動態の制御によるがん治療戦略」
◇斎藤雅一教授(埼玉大学大学院理工学研究科)
「電荷輸送のためのσ非局在化システムの創製」
◇荒井堅太准教授(東海大学先進生命科学研究所/理学部化学科)
「セレン化学:タンパク質構造制御の新たなフロンティア」
◇蟹江 治教授(東海大学工学部生物工学科/マイクロ・ナノ研究開発センター)
「αヘリックスバンドル構造を持つグリコシダーゼ耐性免疫刺激糖ペプチド」
◇金森審子教授(東海大学工学部生物工学科/先進生命科学研究所)
「酵素的・非酵素的還元型セレノグルタチオン生成機構を利用した有害物質の無毒化」
【閉会のあいさつ】
 岩岡道夫所長