我らの西表島冒険記 河川流量調査編~人文ですが流量測らせてもらっていいですか?~

こんにちは!私たちは沖縄地域研究センター所長兼、人文学部長である斉藤先生直轄の部隊「斉藤探検隊」メンバーの望月・山本・杉浦です。この度、私たち斉藤探検隊は斉藤先生から河川流量調査の命を受け西表島にやってまいりました。今回の調査にあたって、3つの観点から行いました。河川災害の対策を立てるための防災の観点、河川利用安全向上のための観光の観点、サンゴや土砂等の研究の観点から調査を開始しました。島の約90%が自然に覆われている秘境西表島の川にはいったいどのくらいの水が流れているのか?イリオモテヤマネコに会うことはできるのか!そもそも文系の人文学部生に流量が測れるのか!?防災科学研究所の村上さんと共に6月12日~20日の計8日間に渡る調査秘話ぜひ最後までご覧ください!!

DAY1
調査開始初日私たちは河川流量調査の移動手段に使われるSUPの練習を行いました。3人ともほとんど未経験ということもあり最初は転んでばかりでしたが村上先生のご指導のもと何とかコツを掴み、最後は移動手段として使える程度には上達しました。

DAY2
2日目私たちはSUPをより実践的に使えるようSUPスポットで大規模練習を行いました。マングローブが生い茂る狭い脇道進み、本土では見ることのできない海の景色を楽しみました。また、1日目では習得できなかった細かい操作も習得し、調査で使えるほどに上達しました。よし!これから調査開始!と思った矢先、突然の雨により調査は中止となりました。ということで私たちは西表島の自然について知れる野生生物保護センターへ訪れイリオモテヤマネコなど西表島の生態について学びました。今日培ったSUPの技術と西表島の生態系の知識を活かしここからの調査をより良いものにしたいと思います。

DAY3
3日目私たちは、本格的に西表島の河川流量調査を開始、クーラ川、シイラ川、マイラ川の3本を調査しました。河川流量調査は海水の影響を受けていない上流まで行きプロペラ式流速計という計測器をもちいて行います。そのため、まずは海水の入らない上流を目指します。島の90%が自然の島、もちろん道と呼べるものはほとんどなく、道なき道をSUPやトレッキングで登ります。途中ヒルに噛まれ、蜘蛛の巣に引っ掛かり、泥に足を飲まれ、体力も限界に達した矢先、一面に大きく広がる滝があらわれました。私達は考える間もなく滝ツボにダイブ!苦しかった時間は一瞬にして天国に変わりました。しかしここで事件が起こります。滝ツボに望月隊員がスマホを落としてしまったのです。調査隊全員で探しましたが見つからずその日は終わりました。

DAY4
4日目、私たちは望月隊員が落としたスマホを救出するべくiPhone救出作戦を決行しました。結果、沖縄地域研究センター職員の伊藤さんの手によって無事救出されました。
伊藤さんありがとうございました。そして、望月隊員反省しろ...。

DAY5
5日目は、ユツン川とゲータ川の2本の調査を行いました。この日は私達調査団にとって一番過酷な一日となりました。起床は朝の5時半、出発が6時20分ということもありこの時間に起きることになりました。車で移動しユツン川に到着、トレッキングでの調査が始まりました。枝をかき分け、急な坂をのぼり、ハブにも遭遇、ゆっくり歩くと言っていた先頭の村上さんもペースは思ったより早くついていくのも必至、朝も早かったため、眠気まで襲ってきました。そんなとき、「大丈夫だ、君たちには俺がついている!」村上さんのその言葉に残りの力を振り絞り全力で登りました。するとそこに待っていたのは大きな滝と海と島が一望できる絶景でした。過酷な道を上ってきたということもあり、感動はとても大きいものでした。

DAY6
過酷な5日目とは異なり、6日目は休息日ということで船に乗り沖縄県最大級の河川である浦内川を観光しました。船を降りトレッキングに移ると普段道なき道を歩いてきたため、少し整備された今回の道はとても歩きやすいものでした。途中、キノボリトカゲなど本土では見ることのできない西表島ならではの生態系を観察し、本日の目的地マリュウドの滝に到着しました。落差こそ無いものの本土の滝とは違ったその壮大さに驚いたのは今でも覚えています。

DAY7
7日目、私たちは河川調査から離れ東海大のもう一つの研究所がある網取に行きました。
主に本日は、シュノーケリングによる網取湾の生態系の観察です。様々な魚を観察し、最後にはウミガメも見ることができました。

DAY8
西表島での生活もついに最終日を迎えました。苦しくも楽しくもあった調査の日々。この日々を思い出しながら最後の調査の川、ナダラ川に向かいました。いつもとは違った足の重みを感じながらトレッキングし流量調査を開始、深くかみしめながら最後の流量調査を終えました。その日の夜、私たちを支えてきてくれた村上さん、研究センターで一緒に暮らした海洋学部の二人と共に、お別れ会を開催。こういった形で仲良くなれたのもフィールドワークならではの良さだと感じました。

以上が、私達斉藤探検隊がおこなった調査の日々です。ヒルに噛まれたり、足を痛めたり、スマホを落としたりと波乱万丈だった西表島冒険記。だからこそ、私達隊員の学生生活の大きな思い出になったのも事実だと思います。一見バラエティに富んだ日々でしたが、そのすべてが「フィールドで学ぶ」ということの本質を教えてくれました。自然に直接触れることでしか得られない知見、そしてトラブルの中にこそ隠れていた学び。西表島でのこの経験は、私たちの学問的視野を広げてくれた貴重なフィールドワークとなりました。最後に、フィールドワークを生き抜いた私達から言わせてください。「人文でも流量、測れます!」ってね。

著 山本侑李