大学院海洋学研究科の石倉さんが国際研究集会「PICES-2021」で最優秀ポスター発表賞を受賞しました

大学院海洋学研究科2年次生の石倉明依さん(指導教員=海洋生物学科・西川淳教授)が、昨年10月29日にオンラインで開催された国際研究集会「PICES-2021(北太平洋海洋科学機関2021年次会合)」で最優秀ポスター発表賞(Best Poster Presentation Award)を受賞しました。

石倉さんの研究テーマは「黒潮大蛇行が駿河湾におけるオキアミ類に与える影響」です。本州の太平洋岸沖を流れる黒潮が沿岸を離れて、大きく迂回して通る現象「黒潮大蛇行」が発生すると、海洋環境が変化し黒潮域の海洋生態系に大きな影響を与えます。清水キャンパスの目の前に広がる駿河湾も黒潮の影響を受けていることは分かっていましたが、黒潮大蛇行が湾内の動物プランクトンに与えている影響に関する調査はほとんど行われてきませんでした。石倉さんは、本学所有の小型舟艇「北斗」に毎月乗船して駿河湾の水温や塩分などを調査。また、専用の網を水深約1000 mまで下ろしてプランクトンを採集し、オキアミ類の種多様性や個体群動態に大蛇行が及ぼす影響について調べてきました。また、西川教授の研究室で2015年から19年まで継続してきた調査と併せて分析しました。調査結果から、黒潮大蛇行期には水温上昇など湾内への黒潮系水の影響があることを確認。温暖で貧栄養な黒潮系水が多く流れ込んだことで、湾内のオキアミ類の生存・繁殖などに影響をおよぼし、個体数密度の減少や種多様性の増加を引き起こしたと推測しました。

海洋学部4年次生のときに西川教授の研究室に所属してからこの研究に取り組んできた石倉さんは、「英語での発表には不安もありましたが、英会話学習アプリを使って発音の練習を重ねてきました。今回、国内外の海洋研究者らが参加する研究集会で評価していただいたことで、研究意欲の向上にもつながっています。4月からはプランクトンの研究・解析などを行う企業への就職が決まっているので、これまで大学で学んできた知識を生かし論文を発表したい」と抱負を語りました。

指導した西川教授は、「今回受賞した部門の年齢制限は36歳までとなっており、学生だけでなく第一線で活躍している若手研究者も対象でした。学生の受賞者はごくわずかで、特に修士課程の学生の受賞は大変素晴らしいことだと思います。私の研究室でこの賞に輝いた大学院生は初めてです。石倉さんの日々の努力や研究の成果を評価してもらえてよかった」と話しました。