健康学部健康マネジメント学科とヨーロッパ学術センター、デンマーク・VIAユニバーシティカレッジが「第8回QOLセミナー」を共同開催しました

健康学部健康マネジメント学科とヨーロッパ学術センター、デンマーク・VIAユニバーシティカレッジが12月20日にオンラインで、「第8回QOLセミナー」を共同開催しました。今回は、「子どもと若者のQOLとメンタルヘルス~日本とデンマークのケーススタディ~」と題して、高校生や大学生、ヘルスケア分野のビジネス・教育関係者を対象に実施。VIAユニバーシティカレッジのイェスパー・ダールゴー准教授と健康マネジメント学科の長沼洋一講師が講演しました。

司会を担当した本センターのヤコブ・スキュット・イエンセン副所長による開会の言葉に続き、健康学部の堀真奈美学部長があいさつ。「本学部では、健康を生物学的、心理学的、社会学的な側面から総合的にとらえるバイオサイコソーシャルアプローチに着目し、教育や研究に取り組んでいます。コロナ禍でメンタルヘルスはますます重要な課題となっています。このセミナーが有意義な会になるよう期待しています」と語りました。

ダールゴー准教授は、「ストレスを軽減し、セルフ・コンパッションを促進するための学生向けマインドフルネス・リトリートについて~室内と自然の中でのリトリート環境を用いた試験的試み~」と題して講演。長期にわたるストレスが心身に与える影響や、デンマークにおける学生のメンタルヘルスに関する調査結果を分析し、教育現場や社会による学生サポートの重要性を指摘しました。続いて、同カレッジとコペンハーゲン大学の学生を対象とした、リトリート(自分を癒し、取り戻すための行為)効果に関する研究結果について解説。瞑想などにより心を整える「マインドフルネス」や、自らを思いやることでストレスや不安を回避する「セルフ・コンパッション」のスキルの獲得は、室内よりも自然の中で取り組んだ場合により有効であり、効果の持続が期待できるといった成果を紹介しました。

続いて講演した長沼講師は、「日本における新型コロナウイルス禍の影響と子ども・若者のメンタルヘルス」をテーマに、コロナ禍が日本の子どもや若者に与えた影響について、家庭の経済状況や食事、学力、体力、メンタルヘルスといったさまざまな視点から説明。「新型コロナによる負の影響は女性や若者に大きく、経済的な悪化は経済困難層に顕著に表れています。経済困難層世帯への経済的支援を長期的視点で行うとともに、フードバンクやフードパントリーといった食事の支援、リモートでも相談できるメンタルヘルス支援の充実が求められています」と語り、自身が参画しているキャンパス・ソーシャルワーカーの取り組みについても紹介しました。講演終了後には参加者から多くの質問が出され、活発な意見交換が行われました。

最後に、VIAユニバーシティカレッジ健康学部のカレン・フレドリクセン学部長が講演者と参加者に謝辞を述べ、「子どもと若者のメンタルヘルスについて研究し、その成果を共有することは、彼らのQOL向上に大変重要であり、持続可能な社会の構築にもつながります。今後も国や文化をこえた対話やセミナーが継続していくよう願っています」と結びました。