大学の世界展開力強化事業の最終シンポジウムを開催しました

東海大学では3月1日に、「大学の世界展開力強化事業」の最終シンポジウムをオンラインで開催しました。本学が文部科学省の平成29年度「大学の世界展開力強化事業」の採択を受けて2017年から展開してきた「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成:主に極東地域の経済発展を目的として」プログラムの成果を共有し、日露のライフケア分野における人材育成や国際連携についての展望を議論する機会として開いたもので、両国から約50名が参加しました。

最初に本学の山田清志学長と極東連邦大学のビクトリア・パノヴァ氏、国立研究大学高等経済学院のニキータ・アニシモフ総長、文部科学省高等教育局高等教育企画課国際企画室係長の梅木慶治氏があいさつしたほか、ロシア高等教育科学省国際協力局のヴラディスラフ・スタルジェンスキー局長がビデオメッセージを寄せました。山田学長は、「この催しは日露の学術関係者が将来よりよい社会を実現するためのステップになります。本事業を通じて協力してきた多くの皆さんがこの場に参加してくれたことに感謝します。これまでの取り組みを振り返り、ライフサイエンス分野のみならず両国のよりよい協力関係構築につながることを期待しています」と語りました。

続いて、事業責任者で語学教育センターの山本佳男所長が5年間の取り組みと成果を報告。海外研修や中・長期派遣留学、健診人材実務者研修では、連携大学との協力により単位認定など質の保証を伴ったプログラムを構築し、両国から多数の学生が参加してきたことを報告しました。さらに、2018年度に本学の海洋調査研修船「望星丸」を用いて実施した日露の学生が共同生活を送りながら両国の将来について語り合う研修航海や、2020年以降のコロナ禍で直接の渡航が困難になる中でもオンラインを活用して学生の満足度の高いプログラムを実現してきたことを紹介し、「過去の参加学生を対象とした調査でも満足度が極めて高く、実際に両国のビジネスで活躍している卒業生も出てきています。この成果を次の国際連携プログラムにつなげていきたい」と語りました。

また、医学部医学科基礎医学生体防御学系の竹腰進教授と極東連邦大のオレッグ・パク副学長(医学担当)による基調講演も実施しました。竹腰教授は、酸化ストレスの発生やビタミンEやCなどの抗酸化物質が働くメカニズムの解明を目指す研究成果を解説するとともに、梅の健康効果を科学的に分析する和歌山県みなべ町との共同研究についても語りました。パク副学長は、極東地域における医療体制充実の現状について同大の取り組みを中心に紹介。大学と企業が連携してパーキンソン病やジストニアといった難病の治療に積極的に取り組み、同大医学部では最新機器を使った人材育成にも力を入れていることを解説しました。