農学部の永井教授がJAグループ トマト主産県合同講演会で講師を務めました

農学部バイオサイエンス学科の永井竜児教授が、12月10日に東京都中央卸売市場大田市場で開かれたJAグループ トマト主産県合同講演会で講師を務めました。トマト主産県は茨城・栃木・群馬・千葉・静岡・愛知・岐阜・福岡・佐賀・熊本・宮崎の11県のJAが参画しており、トマトの消費が鈍くなりがちな厳寒期にも販売を促進しようと市場関係者向けの講演会や試食会などを開催しています。今回は、仲卸・青果バイヤーなどの市場関係者に向けて、永井教授が研究を続けているトマトの新機能性成分「エクスレオサイドA」(EscA)について紹介することで、トマトのさらなる消費拡大を目指して企画されました。

永井教授は、「トマト=『リコピン』だけではない!! 新機能成分『エスクレオサイドA』で血管から健康に!!」をテーマに講演。自らが研究者の道へと歩み出した経緯から振り返りつつ、老化の研究から生活習慣病、メタボリックシンドロームの研究へとシフトしていった経緯を紹介。さらに2003年に熊本大学薬学部の野原稔弘名誉教授と永井教授の教え子であった藤原章雄氏(現・熊本大学大学院生命科学研究部講師)が発見したEscAについて紹介。2007年に永井教授らの研究によって世界で初めて動脈硬化の抑制効果が報告されたこの成分について、マウスを用いた実験結果やデータを示しながら解説し、「近年、テレビ番組などでトマトの機能性が紹介されることが多く、スーパーマーケットなどでもトマト製品が多くみられるようになりました。ただ、トマトの有効成分として知られる『リコピン』は赤い色素が付いているため量りやすかったので有名になった側面がありますが、実はミニトマトでは、EscAはリコピンの21倍含まれていることがわかっています。また、EscAは動脈硬化を予防するために非常に有効であり、農学部の研究者として一度進行するとなかなか治せない血管障害の原因となる代謝の異常を早期に検出して予防するための食品を開発していきたい」と語りました。

さらに永井教授が研究に取り組む老化物質AGEsについて触れ、シャープとの共同研究によってその計測器を開発した経緯なども解説。「これまで測れなかったものが測れるようになり、白内障予防などに効果があるAGEs阻害・機能性食品の開発にもつながりました。トマトにおいてもEscA高含有のものなど新しい品種の開発にも取り組んでいきたい」とまとめました。終了後の質疑応答では、「1日にどの程度食べることでEscAの効果が発揮されるのでしょうか?」「どの品種にEscAが多く含まれるのか」などの質問が相次ぎ、永井教授が一つひとつ丁寧に回答しました。

また永井教授は12月15日にも熊本県八代市で開かれた「令和元年度 生活習慣病予防講演会」(同市鏡保健センター主催)でも講師を務め、「毎日気軽にアンチエイジング~老化物質AGEsをつくりにくい生活習慣とは~」をテーマに講演しました。

永井教授の研究室ホームページはこちらからご覧ください↓
http://www2.kuma.u-tokai.ac.jp/~rnagai/

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